経済特区庁、貿易産業省の傘下から離脱する法案を提出
(フィリピン)
マニラ発
2019年09月03日
フィリピンで加工組み立て型の製造業やIT-BPM(ビジネス・プロセス・マネジメント)産業の日系企業が多く入居する経済特区を管轄する経済特区庁(PEZA)を貿易産業省(DTI)の傘下から外す改正PEZA法案が下院に提出された、と複数の地元紙が8月29日に報じた。
この法案ではほかに、現在多くのPEZA入居企業に適用されている売上総利益の5%という法人所得税の同7%への引き上げが規定されている。また、PEZAを通じて一元的に各種許認可や税務の手続きを行う「ワンストップサービス」の拡充が盛り込まれた。
PEZAは、財務省主導で審議されている税制改革第2弾の法案に含まれているPEZAの税制優遇制度の抜本的見直しがPEZA入居企業に与える影響(2019年5月20日記事、7月25日記事参照)を懸念している。そのため、PEZAは入居企業の税制優遇制度を維持するため、財務省の法案への対抗案として改正PEZA法案を提出したとみられる。PEZAのチャリト・プラザ長官は地元メディアに対し、「財務省案が可決された場合、フィリピンへの投資の魅力度が低下し、入居企業の撤退にもつながりかねない」とコメントした。
プラザ長官はまた、経済特区の国際競争力の向上が法案を提出した目的の1つだと説明した。現行のPEZA法は24年前に成立した。観光インフラおよび企業誘致区庁(TIEZA)やバターン自由港経済特区庁(Authority of the Freeport Area of Bataan)など、PEZA以外の投資誘致機関もさらなる投資を呼び込むため、各種インセンティブの改正を最近行っており、PEZAも同様に改正を行うタイミングが来ているとしている。
PEZA取締役会の会長で、PEZAの所管官庁であるDTIのラモン・ロペス長官は現地メディアに対して、改正PEZA法案についてPEZAから説明を受けておらず、この法案はPEZAの正式な方針を示したものではないと説明した。
(坂田和仁)
(フィリピン)
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