改正労働法、雇用契約の終了要件は労使双方に配慮

(エチオピア)

アディスアベバ発

2019年08月15日

7月4日にエチオピア国民議会が可決した改正労働法では、6カ月間で8回の遅刻、または5日間の無断欠勤をした従業員を、事前警告後に解雇可能とした。また、評価システムに基づいて証明すれば、能力や技術が不足する従業員を事前通知後に解雇できる。

工業団地の入居企業などからは、従業員の欠勤率の高さを嘆く声も多い。欠勤理由はさまざまで、中でも冠婚葬祭(とりわけ葬儀)は頻度が高いとされる。コーヒー豆収穫期には、農作業を優先する事態も発生する。工場勤めへの不慣れからノルマにストレスを感じることもあるようだ。

人員整理が必要な場合、現行法では優先順位が定められている。雇用主は熟練労働者を残すことが認められており、同一技能・生産性を示す場合には、勤続期間が短いもの・扶養家族が少ないものがまず減員対象となる。他方、妊婦と産後4カ月以内の経産婦は最後まで減員対象とならない。これに加え改正法では、身体障害者も障害を持つに至る理由を問わず、減員対象の最後と位置付け、弱者保護を鮮明にした。

雇用主は、従業員への職場でのあらゆる差別を含む違法行為に責任を持つ。違反した場合、改正法では上限6万ブル(約21万6,000円、1ブル=約3.6円)の罰金、3回以上続く場合は事業所の停止を含む措置を定めた。従業員側の禁止行為には、(1)文書偽造、(2)勤務時間中の事前許可のない集会、(3)セクハラ行為、(4)暴力行為が追加された。雇用主が従業員のこうした行為を知った場合、事前通知なしに解雇できる。

従業員も(雇用主からか従業員同士かは問わず)セクハラ行為の被害を理由に、事前通知なしに雇用契約を終了できる。この場合、雇用主は給与3カ月分を退職者に支払う必要がある(通常の違法行為では1カ月分)。

(関隆夫)

(エチオピア)

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