トランプ米大統領、対中追加関税の5%引き上げを表明、中国の報復措置発表を受けて
(米国、中国)
ニューヨーク発
2019年08月26日
トランプ米大統領は8月23日、自身のツイッターを通じて、既に中国からの輸入品に課しているリスト1~3の追加関税率を10月1日以降、25%から30%に引き上げるとともに、9月1日以降に発動予定のリスト4の追加関税率については、当初予定の10%ではなく15%にすると表明した。中国政府は同日、トランプ政権のリスト4発動の決定を受けて、9月1日以降、米国からの750億ドルに相当する輸入品目に追加関税を課すなどの報復措置を発表していた。トランプ大統領の今回の発表はそれを受けてのさらなる報復措置となる。
米国通商代表部(USTR)は同日、大統領の声明を受けて、プレスリリースを発表した。USTRは、中国の報復措置を「米国製品を標的にした正当化できない関税」とし、1974年通商法301条の目的を達成するために、リスト1~4を含めた5,500億ドル相当の中国からの輸入に対して、5%ずつ追加関税率を引き上げるとしている。既に課しているリスト1~3の追加関税率を25%から30%に引き上げる点に関しては、税率を上げるための手続きを開始して、通知とコメント募集の期間を設けた上で、10月1日から適用する予定と説明している。
追加関税がまだ発動されていないリスト4に関しては、9月1日に発動予定のリスト4Aと、12月15日に発動予定のリスト4Bに分かれているが()、それらの追加関税率も当初予定の10%から15%に引き上げるとしている。USTRは可能な限り早期に、今回の発表に関する詳細を連邦官報で公表する予定だ。
トランプ政権の発表を受けて、リスト4の発動で大きな影響を受けると見られる小売業界を代表する全米小売業協会(NRF)は同日付のプレスリリースで、「ビジネス界にとっては、このような環境で将来の計画を立てることは不可能だ。政権のアプローチが機能していないことは明らかであり、米国のビジネス界、消費者にさらなる税負担を課すことが答えではない。これはどこまでいけば終わるのか」と、政権の方針を強く批判している。
(磯部真一)
(米国、中国)
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