「健康中国」達成へ行動計画を発表、生活習慣病などの予防重視
(中国)
北京発
2019年08月05日
中国国務院は7月15日、「健康中国実施行動意見(以下、意見)」を発表した。2016年10月に党中央と国務院が共同で、健康分野における初の中長期的な国家計画「健康中国2030規画綱要(規画)」を打ち出したが、今回の「意見」は「規画」の目標を達成するために必要な取り組みを具体化したものと位置付けられている。
国務院によると、中国では工業化や都市化、高齢化の進展に伴って、心臓・脳・血管疾患、がん、慢性呼吸器疾患、糖尿病などが増加しており、これら生活習慣病による死亡者が総死亡者の約9割、コスト負担が総疾病負担の7割以上になっている。
こうした現状の改善に向け、「意見」では、生活習慣改善や健康に関する知識の普及などに取り組みの重点が置かれた。具体的には、健康に関する知識の普及や禁煙(分煙、減煙を含む)の推進など、健康全般を改善する総合的施策(6項目)、小中学生や妊婦、高齢者などの重点集団への対策(4項目)、4大生活習慣病と感染症の予防(5項目)の計15項目の特別対策を実施する。この15項目については、国家衛生健康委員会を事務局として設立された健康中国行動推進委員会が「健康中国行動(2019~2030年)」を制定しており、より細分化した目標が示されている(添付資料参照)。
「規画」および「意見」を実施するための組織体制も整備された。「意見」の発表と同じ15日に、国務院弁公庁が公表した「健康中国行動の組織的実施および業績考課方案」で、健康中国行動推進委員会を中心として今後さらに具体的な政策措置の実施と進捗状況のモニタリングを行うとした。また、平均寿命や乳児死亡率など一部の指標については、2022年目標の達成状況を各省(区、市)の党や政府機関の業績評価の参考にするともしており、今後はこうした健康関連指標を達成するための取り組みが強化されるとみられる。
(小宮昇平)
(中国)
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