スイス初の総合暗号資産取引ビジネスがスタート

(スイス)

ジュネーブ発

2019年08月19日

スマート・バロアは7月30日、ブロックチェーン技術を用いた総合暗号資産取引のサービスの提供をスイスで初めて開始したと発表した。暗号資産(仮想通貨)を扱う取引所は日本を含め各国に存在するが、現時点では暗号資産と通貨間の取引に限られている。ブロックチェーン技術を用いた株式の発行や証券化資産の取引まで目指している点で、同社のサービスは世界的にも非常に先進的だ。

2017年創設の同社が2018年9月5日に発表した将来のビジネスプランによると、第1段階として、2018年第4四半期(10~12月)に自主規制団体(注)経由で金融取引仲介業に対する規制をクリアした上で、ブラック ジャック トランプ 無料取引仲介を開始。第2段階として、2019年第2四半期(4~6月)には規制当局の許可を得て、デジタル証券化された不動産や各種資産の取引のサービスを開始するとしていた。今回の発表では、ブラック ジャック トランプ 無料保管、取引、仲介といった総合的な取引サービスをまず開始し、今後は透明性を重視しつつ扱う暗号資産の種類を増やしていき、将来的にはデジタル証券化された不動産や各種資産の取引サービスも視野に入れているとしている。

スイスの金融市場監督庁(FINMA、注)が暗号資産に関する規制の検討を始めたのはこの3月だ()。「ノイエ・チューリヒャー・ツァイトゥング」紙の7月16日付記事によると、これまでにFINMAはブロックチェーンを用いた資産管理や取引仲介業務は許可したが、銀行および証券取引業務を許可した実績はまだない。このため、同社は今後、リヒテンシュタイン当局から暗号資産取引の営業許可を得た同地の子会社を利用することで、幅広いサービスの迅速な実現を目指す。

同社の創設者兼最高経営責任者(CEO)のオルガ・フェルドマイヤー氏は、バークレイキャピタルやUBSウェルス・マネジメントという金融畑を経て、シリコンバレーでブロックチェーンスタートアップであるザポの経営パートナーを務めた。ブロックチェーン技術は、暗号資産の取引だけでなく、さまざまな資産の証券化やフリートマネジメント、資産管理にも応用が可能だ。スイスでは、ブロックチェーン技術を用いて銀行・証券取引関連業務を目指すビジネス事例が多いことから、金融業界出身者の経験が求められている。

(注)金融市場監督庁(FINMA)は資金洗浄対策規制の観点から、金融取引仲介を行う事業者に対し、直接または自主規制団体活動を通じて間接的に資産評価の適切性を確認している。ロイターの報道によると、スマート・バロアが所属する自主規制団体はVQF。

(和田恭)

(スイス)

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