モバイル通信大手テレ2、中国越境EC商品の店舗展示をロシアで

(ロシア、中国、スウェーデン)

モスクワ発

2019年08月15日

世界的に電子商取引(EC)市場が拡大する中、ロシアでも同市場は急速に伸びており、営業手法も多様化している。モバイル通信大手のテレ2(本社:スウェーデン)は8月6日、中国EC大手アリババグループ傘下で越境EC事業を展開するアリエクスプレスの商品を展示するショールームを、ロシアの店舗内に設置したと発表した。

ショールームは現在、モスクワ、チェリャビンスク、カザン、エカテリンブルクの4都市30店舗に設置されている。今後、2019年末までに同ショールーム設置先を1,000店舗まで拡大する予定だ。

展示される商品はスマートフォン、スマートウオッチ、ヘッドホンなどの電子機器で、店舗内で試用することができる。

各商品には、電子値札と注文のためのQRコードが付されている。価格は、為替レートの変動に応じて毎日更新される。購入を希望する場合は、QRコードをスマートフォンで読み込むことでアリエクスプレスのウェブサイトにアクセスし、すぐに注文ができる仕組みだ。注文後2~10日で自宅に商品が配送される。

テレ2のデニス・ゴレシヒン小売り部門ディレクターは同社プレスリリースで、「現代の消費者はより便利で経済的なECを好むが、購入する前に製品を試したいと考えている。顧客のライフスタイルをサポートする通信事業者として、われわれはそのような機会を提供する」と述べた。

テレ2は2017年11月から、ロシアで商品受け渡しサービスを提供する企業のピックポイントと提携し、アリエクスプレスの商品を店舗で受け渡しするサービスを提供している。アリエクスプレスは現在、自前のショールーム店舗をモスクワ市内に2カ所有している(注)が、ロシアの他の企業店舗への展開は初めてとなる。

今回の提携の背景には、オフライン展開を新たな顧客開拓手法として取り入れる世界的な流れがある。EC事業者は、オンライン販売だけでは顧客対象が限定的で、将来的に売り上げが頭打ちになることを懸念するためだ。

他方、「実店舗での販売の課題はオンライン店舗に比べて乏しい商品ラインアップ」〔ロシアのIT分野コンサルティング会社TMTコンサルティングのコンスタンチン・アンキロフ最高経営責任者(CEO)〕との指摘もある(「イズベスチヤ」紙8月6日)。その課題を克服し、オフラインを新たな顧客開拓手法とするか、EC事業者の取り組みが試されている。

写真 モスクワにあるアリエクスプレス公式ショールームの外観(ジェトロ撮影)

モスクワにあるアリエクスプレス公式ショールームの外観(ジェトロ撮影)

(注)ロシアSNS大手フコンタクチェのアリエクスプレス公式ショールーム・アカウントによるブラック ジャック ディーラー。

(戎佑一郎)

(ロシア、中国、スウェーデン)

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