米司法省、GAFAを念頭に反トラスト法調査を開始
(米国)
ニューヨーク発
2019年07月26日
米国司法省は7月23日、日本の独占禁止法にあたる反トラスト法を担当する部局が、民間のオンラインプラットフォームがいかに市場での支配力を高めてきて、その結果、競争を減殺し、イノベーションを抑止し、あるいは消費者の利益を侵害してきたかについて調査を行っていると発表した。今後、産業界も含めた一般市民との協議の機会も設けてハイパーブラックジャックを求めるとしている。
司法省の発表によると、今回の調査は、検索サービスやソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)、小売業に関するオンラインプラットフォームに対して、消費者、ビジネス界、起業家が抱く広範な懸念を考慮しながら行うとしている。名指しは避けているものの、これらサービスを提供するグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン(GAFA)などを対象としているとみられる。
反トラスト法を担当するマカン・デラヒム司法次官補は声明で、「本当の意味での市場競争という規律がなければ、デジタル・プラットフォームは消費者の要求に対応しないかたちで行動し得る」とし、調査の目標は、客観的かつ公正な視点でオンライン市場における競争条件を評価し、消費者が求めるサービスを提供することで、企業が長所を競い合う自由市場に米国市民がアクセスできることを保障することだとしている。
オンラインプラットフォームに対して高まる政権・議会からの圧力
7月24日には、フェイスブックが個人ハイパーブラックジャック保護に関する行政命令に違反したことに対して、過去最大規模となる50億ドルの制裁金を支払って米連邦取引委員会(FTC)と米司法省と和解に至るなど、昨今、オンラインプラットフォーマーの行動を厳しく追及する動きが強まっている(米FTCと米司法省、ブラック)。FTCは2月26日に、テクノロジー市場監視のためのタスクフォースを立ち上げて、オンラインプラットフォームも含めたテクノロジー関連市場における競争状況を監視するとしていた。
議会も積極的に動き出している。下院司法委員会は6月3日に、デジタル市場での競争に関する超党派の調査開始を宣言し、(1)デジタル市場における競争上の問題の文書化、(2)支配的企業による反競争的な行動の検証、(3)既存の反トラスト法、競争政策および現在の執行状況が問題解決のために十分かの検証を行うとしている。下院司法委員会の反トラスト小委員会はその一環で、「オンラインプラットフォームと市場支配力」と題する連続の公聴会を開催している。7月16日にはその第2回として「起業家とイノベーション」のテーマの下、GAFAの代表者や有識者を召喚して公聴会を開催した。
これら政権、議会による調査の帰結がどうなるかは現時点では分からないが、エリザベス・ウォレン上院議員(マサチューセッツ州)をはじめ、2020年の大統領選挙への民主党候補者からも、オンラインプラットフォーム大手を分割すべきとの主張が出てきており、今後もこの分野の議論は過熱しそうだ。
(磯部真一)
(米国)
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