アスタナ国際金融センター、英米法を基礎とする仲裁機関を設立

(カザフスタン)

タシケント発

2019年07月19日

カザフスタンのアスタナ国際金融センター(AIFC)で7月1~4日に開催されたアスタナファイナンスデーで、AIFC裁判所とAIFC国際仲裁センターの開所式が行われた。

AIFC裁判所は、CIS諸国では初めて英国のコモンロー(注)の規範と原則に基づく国際基準に従った司法制度を取り入れ、民事および商業上の紛争解決を目指す。裁判所長官を含めた計10人の判事は、欧州から招かれたコモンローの専門家が務める。AIFC国際仲裁センターは訴訟に代わる手段を提供し、AIFCでの民事および商業上の紛争を解決するための仲裁活動を行う。どちらもカザフスタン国内法から独立した機関で、英語を使用する。

世界各地にある国際金融センターには、独自の国際仲裁センターが併設されている。カザフスタン政府は他国の国際金融センターの事例にならい、裁判所と国際仲裁センターの設置を通じて投資活動に国際基準の法的担保を与え、紛争解決のための柔軟で透明なアプローチを保障し、投資家の権利や利益を保護することで、外国からの投資をさらに呼び込もうとしている。将来的には、AIFCを中央アジア地域の中心的国際金融センターに発展させたい考えだ。

(注)世界の法体系には大きく分けて、英米法系のコモンロー(判例法主義)と大陸法系のシビルロー(制定法主義)の2つがある。事件が起こった場合、コモンローが類似する過去の判例を探し、それに基づいた事案の解決を行うのに対し、シビルローは法律の中からその事案に適合する条文を探して当てはめ、事案を解決する。日本の法体系は後者に準ずる。

(増島繁延)

(カザフスタン)

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