官民がブラジル・アグリテックの重要性を認識
(ブラジル)
サンパウロ発
2019年07月01日
ブラジル・サンパウロ市内で6月19日、スタートアップ関連のポータルサイトを運営するスタートセ主催の「アグロテックカンファレンス」が開催され、約1,000人が参加した。ブラジルは大豆、トウモロコシ、サトウキビなどで、世界トップクラスの生産と輸出実績があり、アグリテックを通じた生産性向上やコスト削減が与える影響は大きい。
登壇したスタートアップの内訳は、ブラジル企業4社、米国企業2社だった(表参照)。ブラジル企業は4社とも農場データを正確に取得し、分析することで生産性向上やコスト削減を実現するタイプのサービスをプレゼンテーションした一方、米国企業2社は細胞を用いた代用食材の開発に挑戦するブラック ジャック ルール ディーラーモデルを紹介した。
ブラジル企業の一例では、アルパックがドローンを通じた新しい農作業の形態を紹介した。従来は人、飛行機、センターピポットが行っていた農作業を、ドローンで代替することにより、ピンポイントな農薬・益虫散布で害虫や病気を防ぐことが可能となったという。ソフトウエア領域にも注力し、ドローンに搭載したカメラを通じた人工知能(AI)で害虫および害虫による農作物へのダメージなどを特定・分析することもできる。ドローンは一般的にバッテリーの容量や強風下での安定飛行など課題はあるが、同社は顧客からのフィードバックをもとに改良を重ねてきたことで、2017年末ごろから飛躍的に墜落数が減少し、さらに飛行可能な面積を急増させてきたという。2017 年にはドイツの総合化学メーカーBASFと、企業のオープンイノベーションに関するサービスを提供するアクセラレーターのエースが行ったアクセラレーション・プログラムに参加。2018年には日系のベンチャーキャピタル(VC)であるブラジル・ベンチャー・キャピタル(BVC)による出資も受けている。
また同イベントには、ブラジル農務省(MAPA)のルイス・クラウディオ・フランサ・イノベーション部長も登壇し、アグリテックの活動環境として農地のコネクティビティーが重要だと説明した。同省によれば、ブラジルの中小規模の農家が保有する農地は全体の43.8%、生産総額でも39%に及ぶという。さまざまな規模の農家がアクセスできる安価な通信網の重要性を認識し、科学技術イノベーション通信省(MCTIC)との間で電波塔の新設位置を議論していることを紹介した。
(古木勇生)
(ブラジル)
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