WIPOグローバルイノベーション指数でスイスが首位を維持
(スイス)
ジュネーブ発
2019年07月31日
国際知的所有権機関(WIPO)が7月24日に発表したグローバルイノベーション指数2019で、スイスが9年連続で1位となった。スウェーデン、米国、オランダ、英国が続き、日本は前年の13位から後退し15位となった。
同指数は、各国の政策立案者がイノベーションを促し、測定する方法をより理解する上で有効な世界的な指数で、今回は研究開発費や特許・商標の国際出願、携帯電話アプリの作成やハイテク輸出といった80の指標に基づき、129の経済圏を順位付けした。また、2019年版の特徴は、特許申請件数の点でも伸長が著しい健康・医療分野における人工知能(AI)やモノのインターネット(IoT)を活用したイノベーションを特集したことと、同指数を活用してイノベーション政策を強化してきたインドのデリーで、初めてプレス発表が行われたことだ。
スイスは、生み出された知識の特許化や経済へのインパクト・波及効果を表す「知識と技術の産出」の項目で2012年以来首位で、知的財産権やモノ・サービスの算出、オンラインでの創造性を表す「創造性産出」の項目でも2018年以来首位だが、今回は労働者の知識や大学との連携といった「ビジネス洗練度」の項目で2位、カジノ ゲーム 無料通信技術(ICT)や環境の持続可能性を含む「インフラ」の項目でも3位に順位を上げるなど、各項目で高い評価を得ての総合首位となった。他方、会社の設立しやすさや債務整理に関する「ビジネス環境」や、教育支出のGDP比の項目は世界44位と評価され、改善の余地がある部分も明らかとなった。
なお、国際経営開発研究所(IMD)が5月に発表した世界競争力ランキング(関連ブラック ジャック ルール)でも、スイスは4位となっている。欧州経済の影響で経済パフォーマンスが下がっている半面、インフラや政府の効率性が高く評価されたものだ。
日本は15位に2つ後退
日本は、GDP当たりの特許申請数や債務処理の容易さなどで最高点だった一方で、教育(37位)、設備投資(63位)、創造性産出(35位)などの項目は良い評価を得られず、順位を2つ落とす結果となった。
今回順位を上げた国には、ICTやモバイルアプリケーションに関するサービス輸出で成果を上げているイスラエル(初のトップ10入り、10位)、GDP比のハイテク輸出で首位の韓国(12位から11位)、科学技術クラスターで米国に次ぐランキングの中国(16位から14位)がある。
(和田恭)
(スイス)
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