モロッコ政府、欧州家電BSHと生産エコシステム構築で協力

(モロッコ)

ラバト発

2019年07月25日

モロッコ産業・投資・貿易・デジタル経済省は7月16日に首都ラバトで、BSHハウスゲレーテ(BSHグループ、ドイツ)と、家電製品の部品調達に特化したエコシステム構築に関する覚書(MOU)に署名した。BSHグループのスペイン子会社を介し、モロッコで製造した部品を欧州の組み立て工場向けに輸出する。モロッコは家電・電子機器部門での生産強化を、BSHグループは部品調達基盤の拡大を目的としている。

現地報道(7月17日付「Challenge」など)によると、今回のエコシステム構築により、モロッコ国内にBSHグループ向けのサプライヤーが生産拠点を増やす計画が進んでいる。2023年までに15社のサプライヤーが2,500万ユーロを投資する見込みだ。2,000人以上の雇用と1億5,000万ユーロの輸出を創出し、冶金(やきん)、プラスチック、電気・電子部品の国内生産の発展が期待される。

同省はまた、上記のエコシステムに関連して、さらに2つのMOUにも署名した。1つはスペイン企業のGravalos ConstructionnesとのMOUで、同社がモロッコに有する誘導コンロ生産工場への4,000万ディルハム(約4億4,000万円、1ディルハム=約11円)の投資に関するもの。2つ目はVirmousilとSIGITの2社とのMOUだ。Virmousilは電気ハーネス、客室(車室)用安全部品およびワイパーの組み立てに15年間携わってきたモロッコ企業。SIGITは2014年に英国で設立され、自動車関連プラスチック部品を製造してきた。エコシステムにおける連携強化を目指す。

BSHグループは世界中に42の生産拠点を有し、6万1,000人の従業員を擁する欧州最大級の家電製品企業。スペイン子会社の生産拠点は4カ所で従業員は4,000人。モロッコでは自動車・電動工具メーカーのボッシュを通じて20年間ビジネスを続けており、2008年にはモロッコに子会社を設立した。

(和田夏音、石橋洋一郎)

(モロッコ)

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