エンターテインメント市場で頭角を現すK－POP

国家改革「ビジョン2030」の下でエンターテインメント分野の開放が進むサウジアラビアで最近、韓国人アーティストの存在感が目立っている。サウジアラビアではこれまで国外に流れていた観光関連の消費を国内消費に転換させようと、国内でさまざまな娯楽イベントが開催されるようになってきた。

7月12日、ジッダのキング・アブドゥッラー・スポーツシティーで韓国のアイドルグループ、スーパージュニアのコンサートが開催され、アジア人シンガーとしてサウジアラビアでコンサートを開催した初めての事例となった。同グループからの派生ユニットであるD＆Eと、韓国のリアリティー・テレビ番組から生まれた男性グループStray Kidsのコンサートも併せて開催された。盛り上がるコンサート会場の様子がSNSに投稿されたほか、チケットが3時間で売り切れたとの報道もあり、自国でのコンサート開催を待ちわびていたファン層の存在が浮かび上がった。

サウジアラビア遺跡観光庁は2019年度から、年間を通じてサウジアラビアの主要な州を季節ごとに分けてさまざまな娯楽イベントを開催する「サウジ・シーズンズ」プロジェクトを開始させており、スーパージュニアらのコンサート開催は6、7月の「ジッダ・シーズン」のイベントの一部だった。

7月14日には、同じく韓国のヒップホップグループである防弾少年団が公式ウェブサイトで、10月に首都リヤドのキング・ファハド・スタジアムでコンサートを開催することを発表した。2018年4月に当地で解禁となった映画館では、この防弾少年団の映画「Burn the Stage：The Movie」が2019年初頭にVOXシネマで1日限りで上映された。当地のVOXシネマの担当者は「チケットが18分で完売した」といい、高い人気ぶりがうかがえる。サウジアラビアでは、日本のアニメやマンガ、オンラインゲームなどのコンテンツが人気の一方で、音楽性とファッション性が高い韓国のいわゆるK－POPの人気も非常に高い。

6月には、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子がG20大阪サミット（首脳会議）への出席前に韓国に立ち寄っており、両国間の関係深化も進んでいる。当地の英字紙「アラブ・ニュース」は、2国間の低公害車や水素エネルギー分野など16件の覚書のほか、サウジアラムコとエス・オイルによる石化プラント建設を含む8件の企業間の覚書が署名されたと報じている。

（柴田美穂）