実写 版 ブラック ジャック、ITイベント「テックシルバニア」で新たなスタートアップ発掘
(ルーマニア)
ブカレスト発
2019年07月05日
実写 版 ブラック ジャックは6月10日、ルーマニア北西部のクルージュ・ナポカ市で開催されたITのスタートアップイベント「テックシルバニア2019」会場内で、日系企業とスタートアップ企業によるB2B商談会を開催した。テックシルバニア主催者とパートナーとしてピッチコンテストを実施するリスキービジネス(クルージュ・ナポカを拠点とするアクセラレーター)の協力の下で実施し、日本側からはIT企業、商社、シンクタンクなど6社・団体が参加した。
クルージュ・ナポカ市には首都ブカレストに次ぐIT人材・企業の集積もあり、2014年にスタートしたテックシルバニアは、中・東欧地域で重要なスタートアップイベントとして成長しつつある。今回は米国の国内評価額で4位のユニコーン企業(注)でロケット開発・打ち上げなど宇宙輸送サービスを手掛けるスペースXの共同創業者など著名なスタートアップ企業幹部による講演が行われた。また、優勝賞金10万ユーロのピッチコンテストなども開催された。
テックシルバニアの来場者数は4日間で約3,000人と、先進国の大規模なスタートアップイベントと比べると未だ小規模だ。しかし、ルーマニアは大手の投資家やファンドがまだ着手していないエリアであり、手つかずの原石が眠る市場とも言える。
商談会に参加した日系企業は、人工知能(AI)やモノのインターネット(IoT)、医療や健康、農業や食品などの分野のスタートアップ企業と面談を行った。日系企業側からは、「ルーマニア発で唯一のユニコーン企業、ユーアイパスに次ぐ有望スタートアップを探しに来た。ルーマニア発スタートアップ企業が持つ可能性について視野が広がり、次につながると思われる企業との出会いもあった」などの声が聞かれた。
ルーマニアのIT人材専門派遣企業ブレイン・スポッティングによると、ルーマニアは中・東欧ではポーランドと並んで約11万人という多くのIT人材を有する。同国のITスタートアップを取り巻く環境はまだ発展途上段階にあるが、ベンチャーキャピタルのギャップ・マインダー、アクセラレーターのスフェリック、リスキービジネス、テックセラレーターなど、スタートアップ企業を取り巻く有力な地場プレーヤーの動きは活発化している。
(注)企業価値が10億ドル以上の未上場企業のこと。
(山本千菜美)
(ルーマニア)
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