共通通貨ECOを2020年までに導入へ、UEMOA首脳会議

(コートジボワール)

アビジャン発

2019年07月26日

コートジボワールのアビジャンで7月12日、西アフリカの8カ国が加盟する西アフリカ経済通貨同盟(UEMOA、注1)首脳会議が開催された。2020年までに、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS、注2)の共通通貨「ECO」の導入に向け、経済収斂(しゅうれん)基準の達成が奨励された。

本会議に先立ち、6月29日にナイジェリアで開催されたECOWAS首脳会議で、地域共通通貨の名称として「ECO」の採用が決定された。また、2020年の導入に向け、インフレ率や財政赤字といった経済収斂基準を満たした国から順次、ECOを導入していく段階的な統合方針が確認された。

西アフリカの15カ国が加盟するECOWASに内包されるUEMOAは、ユーロと固定相場で連動するCFAフラン圏を形成している。UEMOAに加盟する全8カ国は、西アフリカ諸国中央銀行(BCEAO)によって統一された金融政策を施行しており、ほぼ全ての経済収斂基準を満たしている。

UEMOA議長国であるコートジボワールのアラサン・ワタラ大統領は同会議後、現地紙「フラテルニテ・マタン」のインタビューに対し、「UEMOA加盟国は、2020年までにECO導入を目指す。しかし、ECO貨幣の流通が開始されても当面は、従来のユーロとCFAフランの為替平価によるペッグ制は維持される」とした。また、ECOWAS内の非CFAフラン圏7カ国がECOを導入していく段階で、変動相場制への移行が見込まれるが、これには少なくとも10年を要すると独自の見解を示した。一方で、国際環境の変化に照らし合わせ、将来的には固定相場制も視野に入れた為替制度の導入も検討される、と柔軟な姿勢もみせた。現在、ECOWAS域内では8種類の通貨が流通しているが、各国とも通貨統合は不可避との認識で一致している。

またUEMOA首脳会議では、内政の安定化を背景に経済改革が進み、UEMOA諸国がアフリカ全域の平均を上回る6.6%(2018年)の高い経済成長率を実現したことを評価するとともに、共通市場の形成に向け、さらなる経済統合の促進、分野別共通政策の推進を確認した。

一方で、同地域の安全保障分野では、効果的な地域間協力による国際組織犯罪との戦いに向けた包括的アプローチの強化で一致した。この一環として、UEMOA加盟国の首脳は、ECOWAS地域の安全保障を協議するため、2019年9月14日にブルキナファソでECOWAS臨時首脳会議を開催する予定だ。

(注1)西アフリカ経済通貨同盟(UEMOA)の加盟国は、コートジボワール、ギニアビサウ、セネガル、トーゴ、ニジェール、ブルキナファソ、ベナン、マリの8カ国。全8カ国がECOWASにも加盟している。

(注2)西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)の加盟国は、コートジボワール、ベナン、ブルキナファソ、カーボベルデ、ガンビア、ガーナ、ギニア、ギニアビサウ、リベリア、マリ、ニジェール、ナイジェリア、セネガル、シエラレオネ、トーゴの15カ国。

(渡辺久美子)

(コートジボワール)

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