エレクトロニクス産業を中心に、多くの製造業関連指標が悪化

(シンガポール)

シンガポール発

2019年06月27日

シンガポール貿易産業省管轄下の産業・貿易振興機関、エンタープライズ・シンガポール(ESG)は6月17日、最新の貿易統計を発表した。同国の輸出指標である非石油部門の地場輸出額(自国生産による物品輸出で、再輸出を除く)は、5月に前年同月比15.9%の2桁減と2016年3月以来の大幅下落となった。うち、エレクトロニクス分野は31.4%減で、過去10年で最大の落ち込み幅だった(図参照)。品目別にみると、集積回路(39.8%減)、同部品(54.2%減)、ディスクメディア(42.4%減)で大幅減となった。また、非エレクトロニクス部門も、10.8%の2桁減だった。主要取引ブラック クイーン ブラック ジャックのうち、米国を除く国・地域でマイナスになっており、特に中国(23.3%減)、台湾(34.7%減)、香港(24.8%減)での減少が目立った。

現地報道によると、シンガポールの非石油部門の地場輸出の環境悪化は今後も続く可能性が高いとしており、OCBC銀行エコノミストのハウイー・リー氏は米国による貿易規制について、「世界的に可処分所得を下押しし、スマートフォンとパソコンの世界的な需要を鈍化させ、循環性の高いエレクトロニクス業界をさらに深刻な不況へと追いやる可能性がある」とした(「ストレーツ・タイムズ」紙6月19日)。

図 非石油部門の地場輸出額と前年同月比率

製造業などの解雇が第1四半期に増加

また、人材省が発表した雇用統計(6月13日)によると、2019年第1四半期の人員解雇は3,230人となり、前年同期(2,510人)、前期(2,320人)をともに上回った。同省は解雇の増加について、「製造業(構成比18%)、特にエレクトロニクス関連の労働者に影響を及ぼしている」と指摘した。DBSのシニアエコノミスト、アービン・シア氏は解雇数の増加の要因が景気減速にあると述べ、「貿易紛争も、(国内)景気のダウンサイクルの要因の1つ」と指摘。その上で、「(米中の)2大国間の貿易紛争の影響が全て顕在化するまでにはまだタイムラグがある」との見方を示した(「ストレーツ・タイムズ」紙6月17日)。

(南原将志)

(シンガポール)

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