オマーン湾でタンカー2隻攻撃、日本関連船舶も
(アラブ首長国連邦、イラン)
ドバイ発
2019年06月14日
石油海上輸送の要衝であるホルムズ海峡近くのオマーン湾で6月13日、タンカー2隻が攻撃を受けた。攻撃主体は明らかにされていないが、2隻とも複数回の攻撃を受け、船体が大きく破損したと報じられている。うち1隻は、日本の海運企業「国華産業」が運航するパナマ船籍のタンカーで、サウジアラビアなどからシンガポールとタイへメタノールを運ぶ途中だった。もう1隻はノルウェー企業が運航するタンカーで、ナフサをアブダビから台湾に輸送していた。バーレーンの米国第5艦隊は現地時間の13日午前6時12分と7時00分に遭難信号を受信し、救援活動を行ったと発表しており、英国海軍も関係国とともに調査に当たると話している。
現場近くのアラブ首長国連邦(UAE)東部のフジャイラ沖では、5月にサウジアラビアやノルウェーなどのタンカー4隻が妨害行為を受けたばかりだ。関係国が国連に提出した予備調査結果では、「国家による攻撃の可能性」を指摘しており、ボルトン米大統領補佐官はイランの関与に言及し、イランは否定していた。
今回の事件を受けて、アラブ連盟は「国連安全保障理事会は域内の何者かが事件を扇動しようとしていると警告すべき」と要求し、グテーレス国連事務総長は「民間船への攻撃について強く非難する。事実と責任は明らかにされなければならない」と述べた。
UAE紙「ザ・ナショナル」は、近い海域で約1カ月の間に2回、タンカーが攻撃されたことで、米国とイランの間の緊張の高まりがホルムズ海峡やオマーン湾を航行する船舶に影響を与えることを懸念している。
一方、イランのザリーフ外相は、安倍晋三首相のイラン訪問中に日本関連の船舶が攻撃されたことについて、「疑惑だけでは何が起こったかは説明し難い。イランが提案した地域対話がなされねばならない」とツイートしている。
クウェートでは、クウェート・オイル・タンカー・カンパニー(KOTC)が、同社は安全に航行するために全ての予防策をとっている、とコメントした。
今回事件の後、原油価格はブレントで2ドル以上上昇したが、「ザ・ナショナル」紙は「2つの事件は市場に衝撃を与えたが、これらの事件がより大きな事件の先駆けでなければ、すぐに忘れられるだろう」とのアナリストのコメントを掲載している。
(山本和美)
(アラブ首長国連邦、イラン)
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