国内で初の公文式教室、ブカレストに開設

(ルーマニア)

ブカレスト発

2019年06月27日

公文教育研究会は4月初め、ルーマニアで初となる公文式教室を首都ブカレストに開設した。ジェトロは6月5日、公文ブカレスト・ヤンクルイ広場教室を経営するアレクサンドル・イサヤおよびシルビア・イサヤ夫妻に、開設するまでの歩みや今後の展望を聞いた。

イサヤ夫妻は「公文式のメリットは、子供の学力と個性を伸ばすことだ。学年や年齢を問わず、子供のレベルに合った問題を自ら考えて解き、子供たちは自ら可能性を探求して自信をつけることができる」と語る。指導員は解き方を教えるのではなく、ヒントを与え、子供は自ら問題に挑戦する。これは知識の詰め込みが中心のルーマニアの一般的な学校とは異なる教育方法だ。

教室には現在4歳から高校1年生までの合計16人の生徒がおり、中には、ブカレストから120キロ以上も離れたピテシュティ市から通う子供もいる。生徒は入会時に学力診断テストを受け、自身の学力に合った教材から学習を始める。教室では日本と同じ公文式の算数・数学を教えており、英語表記の教材を用いる。2019年秋からは英語の語学カリキュラムも追加する予定だ。週2回の授業で月謝は70ユーロ、入会金は35ユーロ。

公文教育研究会はブカレスト教室開設に至るまでに約3年を要した。ルーマニアの市場は未開拓だったため、日本側での慎重な承認プロセスを進めると同時に、ルーマニア側でも詳細な市場調査を行ったという。

ルーマニアでは、公立学校の教育だけでは不十分と考え、学力のさらなる向上を目指して、放課後に子供を学習塾に通わせる親は多い。そのため、学習塾の数は増加傾向にあり、飽和状態に近いという。しかし、イサヤ夫妻は「短期的な問題解決ではなく、長期的な視点で子供の学習能力を伸ばしていくところに、公文式の差別化のポイントがある。競合他社の参入はむしろ歓迎。ルーマニアの教育市場を育て、このような教育方法をルーマニアの教育制度の中に確立していきたい。」と今後の展望を語る。

公文側は将来的には生徒数を増やすことを検討しているが、現時点では市場動向を捉え、実績を積みながら指導クオリティーの向上に努める。知名度はまだ低いが、教室のフェイスブックページでの広報や口コミで生徒数を徐々に拡大している。

ルーマニアへの日系大手教育関連企業の進出は、2017年のしちだ・教育研究所に続き2例目。今後、日本流の教育方式が現地で根付くかどうかに注目が高まっている。

写真 学習指導員のアレクサンドル・イサヤ氏(左)とシルビア・イサヤ氏(ブラック ジャック トランプ やり方撮影)

学習指導員のアレクサンドル・イサヤ氏(左)とシルビア・イサヤ氏(ジェトロ撮影)

(ミンドル・ユニアナ)

(ルーマニア)

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