カナダ・オンタリオ州、インフラ公社によるサービスの州外提供認める法案可決
(カナダ)
トロント発
2019年06月10日
カナダ・オンタリオ州政府は5月29日、州インフラ公社のインフラストラクチャー・オンタリオ(IO)によるコンサルティング・サービスを州外の政府にも提供することを可能にする法案(予算執行法案の一部)を可決した。これにより、IOは州政府の指示があれば、公的インフラ融資プログラムの開発に関する助言や、不動産、金融問題、取引、プロジェクト、契約管理に関する助言やサービスを州外の政府に提供できようになる。
IOのエーレン・コリー社長兼最高経営責任者(CEO)は5月28日にトロントで行われた講演会で、「今回の法改正により、われわれの業務が拡大し、世界が直面するインフラ不足への対処を促すことになるだろう。オンタリオ州を拠点とする企業が過去10年以上にわたって地元で仕事をしてきたことにより、他の市場に参入できる本当の足掛かりと機会を生み出すことができることを願っている」と語った。
IOは2005年、官民連携(PPP)で州の大型プロジェクトを実施するため、膨大な予算を使って公社化された。 2016年に当時の自由党政権下で監査を受けた際、民間部門に移管すべき業務があるとの指摘も受けた。しかし、コーリー社長はIOの成功事例として、これまでの15年間で主要プロジェクトの95%を予算内または予算を下回って実施し、3分の2以上は期限内に完成させていることを挙げた。
州内市場活性化を狙い、外国企業参入も奨励
また、同州政府は、州内のPPPプロジェクトへの外国企業の入札参加奨励にも取り組んでおり、5月28日にトロントのオンタリオ湖畔にある娯楽施設・公園「オンタリオ・プレイス」の再開発事業の民間提携先をグローバル規模で探すと発表した。
IOも4月に入札の評価方式を外国企業に公平になるように調整(外国でのプロジェクト経験を重視)している。コーリー社長は講演の中で、現在取り組んでいるPPPプロジェクトとして、メトロリンクス(オンタリオ州南部の公共交通機関)の改良事業を例に挙げ、「列車の本数を増やし、迅速に運行できるよう考えている。入札に当たっては、資本コストより、30年間の運用にかかる費用が重要になる。新たなイノベーション(を持った企業の参入)に対するアプローチを模索しており、イノベーションを重視した入札評価方法を検討する」と語った。
(酒井拓司)
(カナダ)
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