オランダ、欧州の「イノベーション・リーダーズ」の仲間入り
(オランダ)
アムステルダム発
2019年06月28日
欧州委員会が2011年から毎年実施している「欧州イノベーション・スコアボード」が6月17日に発表され、オランダが調査開始以来、初めて「イノベーション・リーダーズ」の仲間入りをした。
欧州イノベーション・スコアボードは、欧州と世界主要国を4つの分野(人的資源とイノベーションを取り巻く環境、資金調達と投資、企業のイノベーション導入、およびその影響)の各種指標などによりスコア化し、イノベーション力を比較することにより、EU加盟各国のパフォーマンス向上を促すことを目的としている。イノベーション力は高い順にイノベーション・リーダーをはじめとする4つのグループに分類されている(表参照)。
オランダは今回の調査で、スウェーデン(スコア147.7)、フィンランド(145.9)、デンマーク(140.9)に次ぎ、135.0のスコアでイノベーション・リーダーに分類された。博士課程の学生数などの人的資源、国際的な人材交流などの研究システム、さらにイノベーションフレンドリーな環境などが、欧州の平均を大きく上回る高いスコアとなったことが要因。一方で、研究開発(R&D)への投資、ハイテク製品などの輸出などが課題となっている。
また、EU全体と比較すると、オランダは1人当たりGDP、中小企業の売上高シェア、起業家活動の総額、直接投資の純流入額などはEU平均を大きく上回っているが、ハイテク関連製造業における雇用シェアおよび新規企業の創業は、EU平均を下回っているとしている。
6月24日付の当地「FD」紙(経済紙)は、今回の結果に関し、調査開始当初は6位だったが、学術教育の質の向上、特許出願数の増加、経済のハイテク化などを順位上昇の理由として挙げている。また、地域レベルでは、ユトレヒト州(州都ユトレヒト)は欧州域内でも最もイノベーションランキングの高い地域の1つで、高等教育、官民パートナーシップで高い評価を受けていること、また北ブラバント州(州都アイントフォーフェン)はフィリップス、ASMLなどの会社による特許数が多いことなどを特徴として紹介した。
(高橋由篤)
(オランダ)
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