イスタンブール市長選、野党のイマムオール氏再び勝利
(トルコ)
イスタンブール発
2019年06月25日
6月23日に行われたトルコのイスタンブール広域市長選挙の再選挙で、野党候補エクレム・イマムオール氏が54.2%の得票率で大勝した。与党候補のビナリ・ユルドゥルム氏(元首相、元国会議長)に対し、僅差の勝利だった3月31日の選挙時よりも9ポイント以上の差をつけており、与党が求めた再選挙へのイスタンブール市民の不満が反映された結果とみられている。
再選挙では、イマムオール氏の得票率が3月選挙の48.7%から54.2%(得票数:417万票→470万票)に増加し、ユルドゥルム氏の得票率は48.6%から44.9%(416万票→392万票)に減少した。イマムオール氏はイスタンブール全39区で得票数が上昇したのに対し、ユルドゥルム氏は1区を除いて得票数を減らした。
イマムオール氏は開票後のスピーチで、「3月31日の選挙が無効とされたことに対する国民の不満が投票に反映された。国民が民主主義を守った。ただ、イスタンブールが抱える緊急問題に関しては協力が重要だ。国民に約束したことを実施するために、エルドアン大統領と密接に協力していきたい」と述べた。さらに、「イスタンブールの全市民を区別することなく市政を担う。1つの党の紹介で仕事を得る時代は終わった」と、これまでの市政とは異なることを強調した。
エルドアン大統領は、自身が立候補した2002年11月の総選挙以来、選挙後に国民の前でスピーチしてきたが、今回は初めてせず、代わりにツイッターで、「イマムオール氏を祝福する。今後は民族主義者行動党(MHP)との連立を維持し、2023年の建国100周年の政治経済目標を達成するために努力をする」と投稿した。
トルコでは、2014年から5年間で9回の選挙(大統領選挙2回、議員選挙3回、地方選挙3回、国民投票1回)が行われ、今後2023年までは選挙の予定はない。ルフサル・ペクジャン貿易相は「選挙の時期が終了したので、これから4年間、政府として活動に集中できる」と発言した。市場は、今回の再選挙が民主的に行われたとして好感し、為替は6月24日午後1時の時点でドルに対し1%のリラ高に振れた。
しかし、内政面では、ベラト・アルバイラク国庫・財務相とスレイマン・ソイル内相との対立が先鋭化しているとの流言や、外交面でも、6月末の大阪でのG20首脳会議の際に開かれる予定のエルドアン大統領とトランプ米大統領との会談で、トルコのロシア製ミサイルシステム導入をめぐる問題がどう取り上げられるかなど、トルコ市場を取り巻く問題は楽観視できる状況にはない。
(エライ・バシュ)
(トルコ)
ビジネス短信 1b2b8d65efcdb606