農業・畜産・供給相、東京で穀物輸送インフラ投資を呼び掛け
(ブラジル)
米州課
2019年05月21日
東京の経団連会館で5月9日、ブラジルのテレーザ・クリスチーナ農業・畜産・供給相が同国の穀物産業と輸送インフラについて講演を行った。
同相によると、ブラジルのGDPの21%が農水産業関連セクターで占められており、同セクターはブラジル主要産業の1つだ。特に砂糖、コーヒー、オレンジジュースは、2018年の生産量、輸出量ともに世界1位、大豆や牛肉、鶏肉も世界最大の輸出量を誇ることから、世界の人口増加が見込まれる中、ブラジルは重要な食糧需給国だ。2017年1月に農牧食糧供給省(当時)が公開したレポートによると、米国に次いで世界2位の生産量を誇る大豆は、2028年までに作付面積が2018年比で14.9%増、生産量も29.8%増加することが見込まれている。さらに、ブラジル北部の新興農業地域のマトピバ地域(マラニョン州、トカンチンス州、ピアウイ州、バイーア州)における生産が拡大すれば、2022年までにブラジルの耕地面積の16%をこのエリアが占める見込みであることも強調した。
クリスチーナ大臣はまた、今後さらなる農業関連セクターの成長を考える際、特に、内陸地における安定した輸送インフラ投資が必要だと述べた。現在、ブラジル中西部マットグロッソ州など内陸地で生産された穀物類は、そのほとんどがトラック輸送に頼っていることでコスト増になっている背景もあり、鉄道敷設の計画が進んでいることを明らかにした。今後、入札も実施される予定。ブラジル国内インフラの近代化や精密農業などへのデジタル技術導入による生産効率の改善など、投資が必要な分野はまだ多く、日本からの投資や技術協力・研究開発を歓迎する、と述べて講演を締めくくった。
(辻本希世、中山貴弘)
(ブラジル)
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