GMがオシャワ工場を自動運転車試走場などに転換、1億7,000万Cドルの投資

(カナダ)

トロント発

2019年05月10日

ゼネラルモーターズ(GM)・カナダのトラビス・へスター社長とユニフォー(カナダ最大規模の民間労働組合)のジェリー・ディアス全国委員長は5月8日、共同記者会見を行い、GMのオンタリオ州オシャワ工場に1億7,000万カナダ・ドル(約139億4,000万円、Cドル、1Cドル=約82円)の投資をして、プレス加工・部品製造工場と自動運転車の走行試験場に転換すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした(GMプレスリリース5月8日)。

GMは2018年11月末に、2019年内にオシャワ工場での生産を終了すると発表していた(関連ブラック ジャック ルール)。組合員約2,600人の雇用が懸念されていたが、この転換計画により、300人の従業員を救済することになる。ユニフォーはGMと協議を行い、連邦政府やオンタリオ州政府も雇用削減への懸念をGMに訴えるなどしていたが、今回の発表の中で、GMは1,300人の従業員にはより充実した退職パッケージを提供するとともに、GM以外での将来のキャリアチャンスをサポートするための「ジョブズ・アクション・センター」の開設(2019年6月)や、オンタリオ州内の他の工場、施設などへ配置転換・再雇用を希望する従業員へのトレーニングのための財政支援などを約束した。

へスター社長は「今回の協定は従業員とその家族への支援を最大化し、新しくできる走行試験場は将来の自動車開発に関して、オシャワが重要な役割を果たすものと確信する。設備を残すことで、300人ではあるが雇用を維持することができ、将来的に新たな雇用を創出できる」と語った。

オンタリオ州のトッド・スミス経済開発・雇用創出・貿易相は今回の発表を受け、「GMとユニフォーの合意を歓迎する。オシャワ工場の転換はオシャワ市、ダーラム地域にとって朗報だが、なお多くの労働者は工場の縮小によって不確実な未来に直面している」と指摘した。オンタリオ州政府は、GMやユニフォーと協力しながら、6月に開設される「ジョブズ・アクション・センター」や再雇用・配置転換のためのトレーニングサービスを通して、影響を受けるGM従業員とその家族の支援をしていく、との意向を表明した(オンタリオ州政府プレスリリース5月8日外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

自動車業界のアナリスト、デニス・デロジエ氏は、自動運転車の走行試験場をつくることで、将来的に知的財産分野の雇用増加が期待できる、と指摘した。

(酒井拓司)

(カナダ)

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