ヘルスケアデータの2次利用新法のワークショップを開催
(フィンランド)
企画部
2019年05月31日
ジェトロと在日フィンランド大使館は5月13日、5月1日に同国で施行された健康・社会福祉データの2次利用に関する法律についてのワークショップを東京で開催した。企業関係者約20人が参加し、活発な意見交換を行った。
企業の研究開発・イノベーション目的でのデータの2次利用が容易に
フィンランドでは10年以上前から電子カルテの導入が進んでおり、ヘルスケアに関する1次データの蓄積が進んでいる。同法により、学術研究・統計目的に加え、企業の研究開発・イノベーション活動に匿名化したヘルスケアデータを利用することが容易になる。国立保健福祉研究所(THL)の下に新設されるデータ利用認可機関が、一元的にデータの活用の認可を行うことになっており、2020年1月から運用開始の予定。これにより、従来は数年かかっていた許認可およびデータの取得が、数カ月で済むことになる。
講師を務めたフィンランド国立研究開発基金(SITRA)のシニアアドバイザーのハンヌ・ハマライネン氏は「この種の法制を制定するのはフィンランドが世界で初めて。同法により、機微なデータとの取り扱いの安全性が確保されるとともに、社会・ヘルスケアデータの2次利用が従来より広い範囲で可能になる」としている。
ワークショップでは、SITRAのイルキ・スオカス氏から、同機関が「公正なデータ経済」の構築を目指して進めているプロジェクト「IHAN(人間中心のデータ経済)」の説明もあった。IHANは、「公正なデータ経済」のためにデータ流通の方法や倫理的なデータの利用に関する、欧州ワイドなルールとガイドラインづくりを目指している。また、SITRAは2019年4月に、「公正なデータ経済に向けたロードマップ」と題した政策提言をシンクタンクのリスボン・カウンシルと共同で発表している。公正なデータ経済の構築は、7月1日から始まるフィンランドのEU議長国期間中の重要なテーマともなっている。
ワークショップの資料を希望する方は、こちらのメールアドレスまで連絡のこと。
(牧野直史)
(フィンランド)
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