第2回「一帯一路」ハイレベルフォーラム、習氏は持続可能性の確保を強調

(中国)

中国北アジア課

2019年05月22日

北京市で4月25~27日に開催された第2回「一帯一路」国際協力ハイレベルフォーラム(以下、フォーラム)には、38カ国の首脳級を含む150余りの国や92の国際機関から6,000人余りが参加した(「央視網」4月29日)。2017年の第1回フォーラムには、29カ国の首脳級を含む130余りの国や70余りの国際機関から約1,500人が参加していたが、参加規模が大きく拡大した。2013年に習近平国家主席が「一帯一路」構想を提唱して以来、時を経て確実にその影響力を増してきたことがうかがえる。

4月26日のフォーラムの開幕式で、習国家主席は基調講演を行い、質の高い発展を実現する方向性に沿って「一帯一路」の共同建設を推進することを強調した。共同で相談し、共同で建設し、共同で享受する原則にのっとり、オープン・グリーン・クリーンの理念を堅持し、高いレベルで、各国国民を富ませる持続可能なものにする、とした。

インフラプロジェクトなどで、協力相手国の中国に対する債務増加を招き、その影響力拡大を狙う意図があるとの批判を考慮し、双方に利益をもたらす健全で開かれた協力枠組みであることをあらためてアピールする狙いがあるとみられる。具体的に、商業上と財政上の持続可能性の確保にも言及しつつ、中国と関係国の財政部門が2017年5月に融資の健全性を高めるために「『一帯一路』融資指導原則PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」を定めており、さらに中国財政部は2019年4月25日に分析ツールとして「『一帯一路』の債務持続可能性に関する分析枠組み外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を制定した、とした(2019年5月20日記事参照)。このほか、中国が第2回中国国際輸入博覧会を開催することもアピールした。

そして、習国家主席は、中国が一連の改革開放政策を強化することを、時間を割いて説明した。外資の市場参入分野をさらに拡大し、知的財産権保護の国際協力を強化し、より多くの商品とサービスを輸入し、世界主要経済国と協調してマクロ政策を展開していくことに言及した。そして、公平競争を阻害し、市場を歪曲(わいきょく)する不合理な規定、補助金などをなくすとした。貿易摩擦を抱える米国および世界に対して、自国の改革の方針を力強く訴えたかたちだ。ちなみに、第1回フォーラムの際には、米国からマット・ポッティンガー国家安全保障会議アジア上級部長が率いる代表団が派遣されたが、今回のフォーラムには米国からの高官の派遣はなかった。

(宗金建志)

(中国)

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