スイス大統領が「一帯一路」フォーラムに参加、中国との協力強化確認
(スイス、中国)
ジュネーブ発
2019年05月13日
スイスのウエリ・マウラ大統領は、第2回「一帯一路」国際協力ハイレベルフォーラム参加のため訪中し、4月29日に北京で習近平国家主席と会談、一帯一路に関する協力強化について意見交換を行った。スイスは既に2016年4月25日にアジアインフラ投資銀行(AIIB)に参加、7億640万ドルを出資している。今回、中国との間で、第三国における一帯一路プロジェクトへの資金協力を含む協力覚書に署名した。
欧州と中国との一帯一路に係る連携に関しては、3月23日にイタリアがG7の中で初めて協力覚書に署名し、波紋を呼んだ。中国政府の発表によると、EU加盟国で今回のフォーラムに参加した11カ国のうち、イタリア、オーストリア、ポルトガル、チェコ、ハンガリー、ギリシャの6カ国首脳が習近平国家主席と会談を行った。スイスも含め欧州地域に対する中国の経済的な影響力はますます拡大している。
スイスと中国が締結した一帯一路の協力覚書の内容は公表されていないが、一部報道では、今回のフォーラム以前から、第三国協力プロジェクトに関するものだとの見方があった。具体的には、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタンからポーランドにかけてのいわゆる「ヘルベチスタン(スイスがIMF、世界銀行内で中央アジア諸国などと形成したグループの名称。ヘルベシアはスイスの古名)」地域の共同開発と報じられている。
中国との金融分野における関係も民間ベースで深まりつつある。4月16日付のフランス紙「ラジュフィ」は、クレディ・スイスが中国の外資規制緩和を利用して、中国のジョイント・ベンチャーの株式51%を保有する協力協定を合弁相手企業と締結すると報じた。クレディ・スイスは2008年に中国に進出し、現在では、中国における保有金融資産は1,940億スイス・フラン(約20兆9,520億円、1スイス・フラン=約108円)に達し、同社にとって中国は富裕層資産運用における一大拠点となっている。
(和田恭)
(スイス、中国)
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