アグリショーで存在感を示した日本のアグリテック
(ブラジル)
サンパウロ発
2019年05月10日
ブラジルのサンパウロ州ヒベロン・プレット市で4月29日~5月3日の5日間、「アグリショー2019(第26回)」が開催された。同展示会の公式ウェブサイトによると、訪問者数は約15万9,000人、商談金額は前年比6.4%増の29億レアル(約812億円、1レアル=約28円)で前年を上回る勢いとなった。
同見本市はブラジル企業のみならず、ドイツやイタリアなど外国企業による最新の農機・農業技術を確認できる世界最大規模の農業技術展示会で、ブラジルが競争力を有する作物(サトウキビ、大豆、トウモロコシなど)の生産性向上や、農業関係者向けの課題解決策を得ることができる。アグリショーのフランシスコ・マットゥーロ代表によると、2019年は農業の生産性を高めるコネクティビティーやテクノロジーに関する出展企業の存在が目立った。実際にイノベーションアリーナや、ブラジル零細・小企業支援サービス(SEBRAE)のスマート農場をテーマとしたブースなどが設置され、衛星画像や人工知能(AI)、クラウドデータの活用など、精密農業に資するアグリテックのスタートアップが多数出展した。
進出日系企業としては自動車メーカーや建機メーカーなどが出展したが、アグリテックのスタートアップとしては北海道で創業した農業ブラック ジャック オンライン設計社のファウンダー(創設者)でCEO(最高経営責任者)の濱田安之氏が、参加者として現地を訪問した。同社はスマートフォンやタブレットをモニター画面とするGPSガイダンスシステムで、トラクターの正確な走行をサポートするアンドロイド向けのアプリケーションを開発し、「真っすぐ・等間隔に走る」ことで農作業のあらゆるシーンを効率化することができるという。大がかりなモニターを購入する必要もないため、従来のGPSガイダンスサービスと比較し、コストを約3分の1に抑えることができる。同アプリケーションは、ブラジルが世界最多のダウンロード数(約2万件)となっており、ソフトウエア分野に課題を感じる現地出展企業からは、低コストながら自社サービスに付加価値を生み、農家の生産性向上に資する新たな存在として、関心が寄せられた。
(古木勇生)
(ブラジル)
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