EU、次世代電池供給に向けた「独仏連携」の意義を強調
(EU、ドイツ、フランス)
ブリュッセル発
2019年05月08日
ドイツのペーター・アルトマイヤー経済・エネルギー相と、フランスのブリュノ・ルメール経済・財務相は5月2日、次世代電池供給で連携し「欧州戦略ネットワーク」を主導することを明らかにした。欧州委員会のマレシュ・シェフチョビチ副委員長(エネルギー同盟担当)は両相と共に記者会見に臨み、「欧州バッテリー同盟(EBA)」()を通じた産業活性化に期待感を示した。
欧州委はアクセラレーター役を担う
欧州委によれば、輸送機器の電動化拡大に伴って、2025年時点における欧州の電池需要は400ギガワット時(GWh)に達する見通しだという。シェフチョビチ副委員長は、こうした需要に応えるためには新たに10~25の大型電池生産拠点(ギガ・ファクトリー)の建設が欧州で必要になると指摘。その結果、間接雇用も含めて欧州で200万~300万人の新規雇用の創出効果が期待できるとしている。
同副委員長は、これまで欧州での次世代電池供給体制が(韓国、中国など)アジア企業に依存している実態があったと指摘する一方、今回のドイツ・フランスの連携事業が画期的なプロジェクトになるとの認識を示した。ただし、今後4~5年で供給体制が確立することを望むのであれば、「残された時間は限られている」とも指摘。このため、EUとしては「競合企業を含めた先進事業者とのパートナーシップ」も念頭に「多国籍の投資展開」を目指すとしており、外国資本のプロジェクト参入の可能性に含みを持たせた。
また、シェフチョビチ副委員長は「(投資プロジェクトを担う)コンソーシアムの在り方(プロジェクト参加者の是非、投資規模と負担、役割分担など)はEU加盟国とその企業が判断することになる」との認識を示し、「欧州委は引き続き、アクセラレーター(支援機関)としての役割を担う」との立場を確認した。
なお、同副委員長は4月30日に「第3回EBA関係国会合」を開催し、EU域内の電池サプライチェーンに関連して、以下の分業体制が構築されつつあると語っている(表参照)。
(前田篤穂)
(EU、ドイツ、フランス)
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