第1四半期の実質GDPは市場予想を上回る年率3.2%成長
(米国)
ニューヨーク発
2019年05月14日
米国商務省が4月26日に発表した2019年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率(速報値)は前期比年率3.2%(2018年第4四半期は2.2%)となり、市場コンセンサス予想(ブルームバーグ調べ)の2.3%を上回った(表参照)。
実質国内最終需要の成長率は2015年第4四半期以来の低水準
需要項目別の寄与度をみると、純輸出(1.0ポイント)や個人消費(0.8ポイント)、在庫投資(0.7ポイント)などが成長率を押し上げた。ただし、純輸出と在庫投資を除く実質国内最終需要の成長率は1.4%と、2015年第4四半期(1.3%)以来、3年3カ月ぶりの低水準となった。
個人消費支出は前期比年率1.2%増と、引き続き増加したものの、前期(2.5%増)からプラス幅が縮小した。自動車・同部品が18.4%減(前期:8.5%増)と減少したことなどにより、耐久財が5.3%減と前期(3.6%増)からマイナスに転じた。また、サービス(2.0%増)、非耐久財(1.7%増)もプラス幅が縮小した。要因としては、飲食料品(1.9%減)や衣服・履物(5.7%減)、対家計民間非営利団体最終消費支出(4.5%減)や娯楽サービス(2.6%減)がマイナスに転じたことなどによる。
設備投資は2.7%増と引き続き伸びたものの、個人消費支出と同様に前期(5.4%増)よりプラス幅が縮小した。知的財産(8.6%増)や機器(0.2%増)のプラス幅が前期(それぞれ10.7%増、6.6%増)より縮小したことなどによる。
外需は、輸出が3.7%増と前期(1.8%増)よりプラス幅が拡大し、輸入が3.7%減と前期(2.0%増)からマイナスに転じた。
政府最終消費支出・粗投資は、2.4%増(前期:0.4%減)となった。連邦政府の国防関連支出は、政府機関の一部閉鎖の影響もあって、5.9%減(前期:6.1%減)と引き続き減少したが、地方政府が3.9%増と前期(1.3%減)からプラスに転じた。
物価は、価格変動が大きいエネルギーや食料を除いた個人消費支出デフレーター(コアPCE)の上昇率が、前期比年率は1.3%、前年同期比は1.7%となった。
投資銀行バークレイズ米国担当チーフエコノミストのマイケル・ガペン氏は、3.2%という数字自体は良かったが、持続的な経済の拡大が続くためには、個人消費支出がより強くなければならない、と指摘した(ブルームバーグ4月26日)。
(権田直)
(米国)
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