中銀が政策金利を2%に引き上げ、過去10年間で最高に

(チェコ)

プラハ発

2019年05月07日

チェコ国立銀行(中央銀行)は5月2日の理事会で、政策金利を0.25ポイント引き上げて2.0%とすることを決定した。同時にロンバートレート(債権担保貸付金利)およびディスカウントレート(割引率)も0.25ポイント引き上げ、それぞれ3.0%、1.0%とした。政策金利は、2018年に5度にわたって小刻みに引き上げられたが、2019年に入ってからの引き上げはこれが初めてだ。今回の引き上げにより、政策金利は過去10年間で最高に達した。

中銀のイジー・ルスノク総裁は、今回の利上げ理由を「インフレ圧力が継続しているため」と説明している。また現在のところ、チェコ・コルナの為替レートの急激な上昇を懸念する理由がないこと、英国のEU離脱期限が延期されたこと、さらには米国・中国間の貿易関係改善に向けての兆しがみられることなどを挙げ、わずかながらも外的なリスク要因の緩和がみられたことも今回の決定に影響したと同総裁は指摘した。

中銀は、理事会後の記者会見で最新経済見通しを発表した。その中で、2019年のGDP成長率を前回2月の予測値2.9%から2.5%に、2020年に関しては3.0%から2.8%にそれぞれ下方修正した。引き続き内需の拡大が見込まれるが、一方で外需は減少すると中銀はみている。また消費者物価上昇率は、光熱費や食品価格の上昇などが予測されるため、2020年第2四半期について1.9%から中銀のインフレ目標2.0%に上方修正した。ただし、原油などの輸入価格上昇の一時的影響がやや弱まり、さらに賃金上昇の緩和、および経済成長の抑制、および今回の金利引き上げにより、インフレ圧力も弱まると予想されることから、これ以上の物価上昇はないとみて、第3四半期については2.0%で据え置いている。コルナの対ユーロ平均為替レートについては、2019年は1ユーロ=25.0コルナから25.3コルナに、2020年は24.2コルナから24.7コルナに修正した。

将来的な金利政策に関して、ルスノク総裁は「今後1年間程度は、さらなる利上げの必要性は生じないと予想される」としつつも、「経済情勢の変動があれば、利上げ、利下げのどちらの可能性も除外できない」と述べた。

(中川圭子)

(チェコ)

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