動物由来製品の個人携行輸入取り締まり強化へ、関係当局に実施権限付与の法案公表

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2019年05月15日

ロシア農業省は4月30日、動物由来製品のロシアへの個人利用目的での携行輸入の取り締まりを強化する法案を公表した。今回の法案は連邦法第4979-1号「獣疫について」(1993年5月14日付)第14条を修正するもの。個人利用目的で、機内携行手荷物、受託手荷物、郵送によりユーラシア経済連合(EEU)加盟国以外の国・地域から、出荷国が発行した許可もしくは獣疫証明書なしに獣疫監督対象製品をロシアに持ち込む場合、連邦動植物検疫監督局(ロスセリホズナドゾル)が廃棄・焼却を行うとしている。消毒・廃棄・焼却に伴う費用は徴収されない。

他方、生産国・地域の動物感染症の流行状況などに基づき、当該製品の工場出荷時の包装状態で動物由来の加工品を個人(1人)の持込量が5キログラム以下、かつ、特別な設備がある場所で輸入される場合は適用対象外としている。本法案に対するパブリックコメントは6月3日まで受け付けている。

農業市場分析会社ソフエコンのアンドレイ・シゾフ社長によると、本決定は2010年に採択された、動物由来製品の個人利用目的での輸入は感染症流行がない国・地域のみ許可されるという関税同盟(注1)委員会決定に基づくもので、5キロ超の場合は既に輸入が禁止されているとする。ミラトルグやチェルキゾボなどの大手食肉加工会社が加盟する国家食肉協会のセルゲイ・ユシン執行委員会長は「これまで、不法輸入の試みがあった場合でも処分権限を有する機関が規定されておらず、十分な取り締まりができなかった」とし、今回の法案によって、ロスセリホズナドゾルは、国境での焼却・感染症防止措置の実施権限を得るとしている(「コメルサント」紙5月13日)。

国際獣疫事務局(OIE、注2)によると、日本は2018年9月以降、豚コレラ流行地域とされている。法案成立後、ロスセリホズナドゾルはOIEのブラック ジャック ストラテジーに鑑み、禁止国・製品を決定するとみられ(「ベドモスチ」紙5月13日)、日本からロシアへの個人利用での豚肉製品の持ち込み(注3)も重量にかかわらず、一律に禁止される可能性がある。

(注1)2010~2014年の間に存在した、ユーラシア経済連合(EEU)の前身の製品の加盟国域内での自由流通を保障する枠組み。ロシア、ベラルーシ、カザフスタンの3カ国が加盟していた。

(注2)1924年に設立された獣疫に関する国際組織。本部はパリ。

(注3)現時点でロスセリホズナドゾルが許可した豚肉加工施設はないため、日本からロシアに商業ベースでの豚肉輸出はできない状況となっている。

(齋藤寛)

(ロシア)

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