B2Sスタートアップがシニア層向けのイベント開催
(ブラジル)
サンパウロ発
2019年05月15日
サンパウロ市内のグーグルキャンパスで4月26日、シニア層の就業とテクノロジーの活用を議論する「シニアギークデイ2019」が開催された。このイベントはB2S(Business to Senior Consumer)を掲げ、シニア層が気軽に、かつ楽しくデジタル社会で必要な能力を身に付けられるコースやワークショップが行われた。主催は、議論の場を提供するスタートアップのシニアギークと、グーグルブラジル、シニア世代の活動を支援するボランティア団体のトラバーリョ60+の3者による。会場にはシニア層を中心に約100人が参加した。
グーグルブラジルによると、さまざまな仕事で技術革新が起きている状況下、約7割の企業がシニア層を労働力に取り込むことは難しいと感じているデータがあるという。また、2002年から2014年の間に60歳以上のブラジル人起業家の数は56%増加している。さらに、2040年までに生産年齢人口の半分は50歳以上になると予想されるにもかかわらず、約11%の企業しかシニア層にフォーカスしたプログラムを実施していないという。
実際には、60歳以上のブラジル人の4人に1人はテクノロジーにキャッチアップできているというデータもあり、先入観は企業戦略のミスリードになりかねない、とグーグルブラジルは指摘した。シニア層の重要性を認識するスタートアップとして2015年創業のマツリジョブ(MATURIJOBS)は、企業とシニア層をつなげるプラットフォームを提供し、社会の健康や幸福の増進、シニア層の知識と経験をビジネスに生かす取り組みを行っていることを紹介した。
ブラジルは将来的に高齢化が進んでいくと予想されているが、政府として積極的にシニア層を労働市場に取り込むような動きは現時点では見られない。ただ、テクノロジーの進歩に適応する意思があるシニア層は存在し、この世代に対してビジネスチャンスを見込む企業がいることも確かだ。
(タチアナ・ナガミネ、古木勇生)
(ブラジル)
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