京樽、大連で行列ができる回転ずし店として注目
(中国)
大連発
2019年05月08日
持ち帰りずし店などを展開する京樽(本社:東京都)は2016年12月、大連に中国初の1号店を開店した(2017年1月24日記事参照)。日本と同様に持ち帰りずしの販売からスタートしたが、現地の消費性向の違いなどから方針転換し、2018年1月には回転ずし店として再スタートした。約1年かけての地道な宣伝活動を通じて、現在は平日の昼にも行列ができる人気店となっている。最近の経営状況および今後の計画について、大連京樽獐子島餐飲有限公司の大野淳一総経理に聞いた(5月8日)。
(問)回転ずしに方針転換した経緯は。
(答)大連ではまだすしを持ち帰る文化が定着しておらず、イートインの利用が一般的だ。1号店は市内中心部にある老舗百貨店「大連商場」の2階に出店し、テイクアウトのほかイートインスペースも18席設けた。しかし、利用客の目に留まりにくい場所だったこともあり、利用客数が伸び悩み、2017年4月に閉店した。そのころ大連で回転ずしブームが起きた背景もあり、2018年1月に回転ずし店を開店した(席数は73席)。
(問)繁忙期および主な客層は。
(答)週末と平日の夜が最も忙しい。主な客層は家族連れと買い物客だ。店舗は市内中心部「オリンピック広場」の地下飲食街に位置する。昔ながらの飲食街で、特に週末になると買い物客でにぎわう。また、近くに学習塾が多いため、小学校の休校日となる水曜日午後には、塾帰りの親子連れが多く来店する。価格は1皿6元(約96円、1元=約16円)からで、1人当たりの単価は約45元となっている。
(問)人気商品は。
(答)人気トップ3は、キャラメルサーモン、ウナギ、サーモンだ。1位の商品は現地で考案したメニューで、甘くてサクサクとした食感が若者に人気である。中国人消費者を引き付ける商品開発が重要で、同じく現地発のメニューであるチーズ天ぷら、包みずし(のりの上に具をのせ、客が自分で包む)なども好評だ。また、日本の店舗では導入していないミニ豚骨ラーメンは、中国版食べログの大衆点評で大連の日本式ラーメンランキング5位に入る(5月7日時点)ほど、人気を博している。一方で、しめさばなど油や味があまりないメニューは人気がない。
(問)販促手段は。
(答)2019年から若者の利用が増えているショート動画配信アプリの抖音(TikTok)ですしを握る動画を投稿したことが人気に火を付けた。また、中国版LINEの微信(WeChat)も有力な宣伝方法だ。来店客がWeChatのモーメンツで当店を宣伝すると、茶わん蒸しやアイスなどの1品を無料提供するキャンペーンを実施しており、口コミで広がっている。いずれも現地スタッフなどの考案で、新商品の開発を含め、中国人スタッフらの力を大いに活用している。
(問)同業他社との差別化は。
(答)日本から調達したタッチパネル式の注文機器や、各テーブルまで配送する新幹線レーンは、大連の同業他社にはない取り組みで、新鮮とみている来店客が多い。また、日本人の料理長や店長がおり、安心・安全の日本式管理を導入していることも積極的にPRしている。
(問)今後の出店計画は。
(答)最も理想的なのはショッピングモールへの入店だ。集客力が期待できるのは、「西安路」「和平広場」「ハイテクパーク」「華南地域」「開発区」のショッピングモールだが、同業他社が既に入店している関係上、出店を断られることが多い。地道に交渉を重ね、早期の2号店出店を目指したい。
(辛薇)
(中国)
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