小切手および債券(手形)取引の電子化に関する法案を準備
(トルコ)
イスタンブール発
2019年05月31日
トルコのルフサル・ペキジャン貿易相によると、金融取引のデジタル化強化の一環として、小切手および債券(手形)取引の電子化に関する法案を準備している。
資金調達のデジタル化
小切手および債券(手形)取引の電子化に関する法案は、小切手および債券の発行、承認、支払いを電子的に行うことを目的とし、銀行内、銀行間取引を可能とする「電子小切手・債券システム(CEBIS)」を確立させる予定だ。これに伴い、識別番号あるいはMERSIS(オンライン登録)番号の取得義務化など、トルコ商法第6102号の債券・手形に関する規定の一部修正が行われる。
ペキジャン貿易相は、小切手および債券(手形)取引の電子化導入により、取引がトルコの銀行システムに統合されることで、金融部門の安定性と市場の効率が高まり、データ監視によって不正の回避が図れるとした。なお同法案は、2020年1月1日に施行される予定となっている。
消費者の金融決済手段で先行
トルコでは、消費者の金融決済手段のデジタル化が進んでおり、モバイルによる決済手段がカードによる決済を上回りつつあるともいわれる。トルコでは、クレジットカード発行の基準が緩く、都市部ではカードを利用した決済手段が発達していたが、2010年代に入って、グーグルやアップルによるモバイル・ぺイメント・システムが急速に普及した。さらに、フィンテックの発展もあり、トルコ独自のソフト開発も行われた。
2012年にインターバンクカードセンター(BKM)は、「BKM Express」と呼ばれるデジタル決済システムを導入した。このシステムはQRコードを登録することで、消費者保護の観点から、カードを用いないモバイルによる決済が可能となるもので、現在までに170万の個人ユーザーが利用している。現在では、ほとんどのトルコの銀行がモバイル決済システムを提供するようになっており、2022年までに現金による決済は全体の17%まで縮小するとの報告もある。
(中島敏博)
(トルコ)
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