新エネルギー車への補助基準を引き上げ
(中国)
中国北アジア課
2019年04月05日
中国政府は新エネルギー車のメーカーに対する補助基準などを改定した。財政部と工業21 トランプ化部、科学技術部、国家発展改革委員会は3月26日付で、「新エネルギー車の普及・利用の財政補助政策をさらに完備することに関する通知(財建[2019]138号)」を公布した。新エネルギーの乗用車、客車、貨物車に分けて、補助基準と技術要求を示しており、3月26日から実施した。
具体的には、電気自動車(EV)の乗用車については、航続距離が250キロメートル未満の車両を支給対象外とし、250キロ以上400キロ未満は1万8,000元(約30万6,000円、1元=約17円)、400キロ以上は2万5,000元を交付基準額にするとした。これまでは、150キロ未満を対象外としてきた(2017年は100キロ未満が対象外)ほか、区分もより細かく分けられており、交付基準額も、例えば250キロ以上300キロ未満は3万4,000元などと手厚くしていた(表参照)。対象車両の航続距離が引き上げられ、交付基準額が減額されている。プラグインハイブリッド車(PHV)の乗用車への交付基準額は、2018年は2万2,000元だったが、1万元へと引き下げられた(対象となる航続距離は50キロ以上で変更なし)。
財政部のウェブサイトに掲載されている同政策の解説によると、一部のメーカーで「補助金への依存症」が見られるなど、新エネルギー車産業の発展の過程で新たな問題が生まれていると指摘しており、補助金依存のない真の競争力を持ったメーカーを育成し、同分野の産業競争力を強化したい意図が読み取れる。解説では、新エネルギー車の補助金が2020年に終了することをあらためて強調しつつ、そのスムーズな移行のため、段階的に補助金額を縮小したとしている。また、2019年の交付基準額は平均すると前年の約半分になっているとした。さらに、公平な競争環境を整備するため、地方での新エネルギー車の購入補助を打ち切るとしている。中国政府は2025年に新エネルギー車の生産台数を約700万台に引き上げるとしており、2018年は前年比59.9%増の127万台だったが、今回の措置が生産に与える影響が注目される。
燃料電池車や新エネルギー公共バスの補助金政策は別途、公布される。
(宗金建志)
(中国)
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