第1四半期の新車販売台数、前年同期比2.5%減

(米国)

ニューヨーク発

2019年04月12日

モーターインテリジェンスの発表(4月2日)によると、米国の第1四半期(1~3月)の新車販売台数は、前年同期比2.5%減の400万6,667台に減少した(表1参照)。2015年第1四半期(395万8,228台)以来、最も少ない結果となった。1~3月の月別年率換算台数(季節調整済み)の平均は、前年の販売実績を下回る1,691万台となった。

表1 2019年第1四半期の新車販売台数の内訳(季節調整前)

販売台数は4年ぶりの低水準

今期の販売減に関し、エドマンズ・ドット・コムの産業分析部門でエグゼクティブ・ディレクターを務めるジェシカ・カルドウェル氏は、自動車ローン金利が上昇していることなどから、「消費者にとって新車購入の条件は厳しさを増している。市場は大きな節目を迎えている」と、厳しい見方を示した(オートモーティブニュース4月2日)。

一方で、スポーツ用多目的車(SUV)など大型で高額な車種の売れ行きが好調なことなどから、市場調査会社J.D.パワーのデイブ・ハビガー最高経営責任者(CEO)は「販売台数は減少し始めたものの、自動車消費は強さを持続している」と指摘した(「CNBC」4月1日)。なお、コンサルティング会社ALGの調べによると、第1四半期の1台当たりの平均取引価格は、前年同期比2.5%増の3万4,314ドルと高い水準となった。

続くSUV人気

車種別にみると、小型乗用車が前年同期比15.3%減の50万5,316台、中型乗用車が5.7%減の53万896台に減少し、全体を押し下げた。両車種に大型・高級乗用車を加えた乗用車全体では、8.7%減の125万4,525台となった。乗用車の販売台数は年々減少しており、2014年は789万5,956台が販売されたが、2018年には548万8,180台まで減少した。

小型トラックでは、SUV〔クロスオーバーSUV(CUV)を含む〕が1.5%増の188万1,238台となり、全体で0.6%増の275万2,142台となった。SUVが全販売台数に占める割合は、前年同期より1.9%ポイント多い47.0%となった。

主要メーカー別にみると、ゼネラルモーターズ(GM、7.0%減)、日産(12.1%減)、トヨタ(5.0%減)、フィアットクライスラー・オートモービルズ(FCA、3.2%減)、フォード(1.6%減)の順で押し下げ要因となった(表2参照)。GMは2019年後半にモデルチェンジを控えた大型ピックアップ「シルバラード」が伸びず、日産は人気車種のCUV「ローグ」が2桁減となった。またトヨタ、FCA、フォードは乗用車が大幅に落ち込んだ。一方で、起亜(7.6%増)、スバル(4.7%増)、ホンダ(2.0%増)、現代(2.0%増)、フォルクスワーゲン(VW、0.2%増)の販売台数は増加した。第1四半期の販売台数は自動車業界にとって厳しい結果となったが、GMのチーフエコノミスト、エレイン・バックバーグ氏は、3月は消費マインドが回復し、雇用や賃金の上昇、家計収支も健全で、経済はおおむね堅調に推移しているとした上で、連邦準備制度理事会(FRB)による年内の追加利上げが見送られるとの見通しも、自動車業界には追い風になるはずとの見解を述べた(GMプレスリリース4月2日)。

表2 2019年第1四半期 メーカー別新車販売台数統計(季節調整前)

(大原典子)

(米国)

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