ADB、フィリピンの2019年の経済成長予測を6.4%に下方修正
(フィリピン)
マニラ発
2019年04月08日
アジア開発銀行(ADB)は4月3日、2019年のフィリピンの経済成長率を6.4%と予測し、前回(2018年12月)の予測(6.7%)から下方修正した。世界経済の不透明化・成長鈍化の影響や、国内の農業生産の不調などを要因とした。2020年の経済成長率も2019年と同率の6.4%と予測した。2018年に上昇した消費者物価指数(CPI)上昇率(インフレ率)については、2018年の5.2%から低下し、2019年、2020年をそれぞれ3.8%、3.5%と予測した。
ADBのジョセフ・マリアシンハム氏は、発表同日にマニラで開催されたセミナーで、「米中貿易摩擦のフィリピン経済への影響は小さく、むしろ中長期的にみると、フィリピンに恩恵をもたらす。電気電子産業を中心とした製造業にとっては、米中貿易摩擦の影響が大きい国からの需要を取り込み、0.2~0.7%ほどの成長(押し上げ)要因となる」と話した。
他方、台湾の中華経済研究院の徐遵慈氏は同じセミナーで、中国で操業している台湾企業の約65%が東南アジア諸国への移転を、約40%が台湾への投資引き揚げをそれぞれ検討しているとした上で、「中国で操業する台湾の電気電子産業、履物製造業、繊維産業の企業がフィリピンに移転することを考えている」と話した。
米中貿易摩擦のフィリピンへの影響についてフィリピン政府は、対米輸出額が2023年には5,070万ドル増となると発言している(2019年3月18日記事参照)。
(坂田和仁)
(フィリピン)
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