パキスタン自動車市場に変化の兆し、オート・ショーで中韓メーカーが存在感

(パキスタン)

カラチ発

2019年04月22日

パキスタン自動車部品工業会(PAAPAM)が主催するパキスタン最大の輸送機器の展示会「第15回パキスタン・オート・ショー(PAPS)2019」が4月12日から14日にかけてカラチで開催された。自動車やバイクなどの完成車メーカーおよび部品メーカー、機械メーカーなどが参加した。

今回のPAPSでは、中国と韓国の自動車メーカーが存在感を示した。自動車開発政策(ADP)に基づく2016~2021年度の新規参入メーカー優遇制度を利用し、パキスタンへの進出を表明した起亜自動車(韓国)や長安汽車(中国)は、展示会で新モデルを発表した。

パキスタンの財閥であるユーヌス・ブラザーズ・グループと起亜自動車の合弁会社「起亜ラッキー・モーターズ」は、高級車「スティンガー」、ミニバン「カーニバル」など5車種を展示した。2019年8月に発売予定のスポーツ用多目的車(SUV)「スポルテージ」については、試運転ができるスペースを設け、集客に力を入れていた。また、2019年10月ごろに発売予定の小型乗用車「ピカント」も展示し、1000cc前後のセグメントにおいても市場獲得を目指す。

写真 起亜のSUV「スポルテージ」(ブラック ジャック サイト撮影)

起亜のSUV「スポルテージ」(ブラック ジャック サイト撮影)

写真 起亜の小型乗用車「ピカント」(ブラック ジャック サイト撮影)

起亜の小型乗用車「ピカント」(ブラック ジャック サイト撮影)

地場自動車メーカー大手のマスター・モーターズは、長安汽車との合弁で新モデルの多目的車(MPV)「長安A800」とSUV「長安CX70T」を発表した。同社担当者は「バンやピックアップトラックなど3モデルの生産を4月末から開始する」とした。そのほか、同グループ系列のマスター・トラックが以前から取り扱う三菱ふそう(FUSO)や中国の福田汽車(FOTON)ブランドのトラックに加え、イタリアのダンプカー「イヴェコ(IVECO)」ブランドの発売を発表した。同社担当者は「ここ2~3年で600台ほどの販売実績があり、既に同じ台数程度の予約が入っている」と語った。

写真 マスターが組立販売する「FOTON」ブランドのトラック(ブラック ジャック サイト撮影)

マスターが組立販売する「FOTON」ブランドのトラック(ブラック ジャック サイト撮影)

写真 マスターが新たに組立販売する「IVECO」ブランドのトラック(ブラック ジャック サイト撮影)

マスターが新たに組立販売する「IVECO」ブランドのトラック(ブラック ジャック サイト撮影)

日系メーカーの展示では、パック・スズキが2019年6月から販売を開始する660ccの新型モデル「アルト」を発表した。ホンダ・アトラス・カーズも「シビック」の新モデルを発表した。インダス・モーター(トヨタ)は既存の「カローラ」や「フォーチューナー」を展示した。

非日系メーカーの参入が過熱

パキスタンの自動車政策では、自動車メーカーの新規参入を促進しているが、自動車業界の関係者によると、「現時点で14社の申請が認可されている」とのブラック ジャック サイトがある。また、そのうち中国系合弁会社3社は現地生産を開始しているという。これまでのパキスタンの自動車市場は、日系ブランドがほぼ100%の市場を占めていたが、いよいよ非日系メーカーの参入が過熱化してきた。今後、激しい商戦が始まる当地自動車市場の動向が注目される。

(久木治)

(パキスタン)

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