遅れている遺伝子工学技術分野にてこ入れ、連邦プログラムを策定
(ロシア)
欧州ロシアCIS課
2019年04月23日
ロシア連邦政府は4月22日、2019~2027年に実施する遺伝子工学技術の発展に関する連邦科学技術プログラムを承認した(2019年4月22日付連邦政府決定第479号)。本プログラムは、遺伝子工学技術開発の加速を目的としたもので、2018年11月28日付大統領令第680号に基づくもの。ゲノム編集技術、医療、農業、工業向けの科学技術の蓄積や、バイオ分野の非常事態に備えた予防・管理システムの改善を含む内容となっている。
プログラム策定の問題意識は、世界に比べて遅れているロシアの遺伝子工学技術の向上を目指すことだ。個別医療、健康維持技術、高効率で環境にやさしい農業・養殖、動植物への合理的な化学物質の活用、安全・高品質な食品などへのバイオ技術の需要が世界中で高まる中、本分野のロシアのシェアは、米国や欧州諸国、中国などに比べ、研究開発への投資額、研究者数、論文数、特許取得数などにおいて劣後する。メドベージェフ首相は「世界市場に占めるロシアのシェアは非常に小さい。シェア拡大に向けて、何でもすべきだ」と述べている(「コメルサント」紙4月22日)。
プログラムの内容は、大きく3つのフェーズに分かれる。(1)科学教育機関を基盤とした遺伝子工学技術分野の研究を行う実験や拠点施設の設置、(2)同施設を通じた研究と技術支援の提供、(3)バイオ製品、診断システム、医療用途の免疫生物学薬剤、農業・工業向けバイオ工学技術など応用技術の開発だ。具体的には、実業界のニーズに応じたゲノム編集技術を活用した動植物(水産物を含む)の開発、生体内外での遺伝子技術を用いたヒトの疾病モデルの開発、国際標準に基づく標本の収集・保管・提供を行うバイオリソースセンター(注)の形成、バイオインフォマティクス(生命ブラック ジャック アプリ科学)や遺伝ブラック ジャック アプリデータベース、世界レベルのゲノム研究センターの創設(3カ所以上)などを掲げ、これらを、バイオ製品、ヘルスケア向けの診断システム、免疫生物学薬剤、新種植物や病気・気候変動に強い品種など農業・工業向けバイオ技術、などの開発につなげる。
プログラムの実施・調整役は教育科学省で、プログラムの方法・ブラック ジャック アプリ分析・体系的支援はロシア最大規模の研究機関であるクルチャトフ研究所が主導する。
今回のプログラムは、2013~2020年を実施期間とする国家プログラム「科学技術発展」(研究開発の国際競争力向上で人材育成に総額10兆ルーブル超、ブラック)、「教育発展」「ヘルスケア発展」「工業発展・競争力向上」「製薬・医療産業発展」「農業発展・農産品・原料・食料品市場規制国家プログラム」2011~2020年実施の「ブラック ジャック アプリ社会」の枠内で実施される。財政支出は、連邦予算および予算外財源を基に、2019~2027年の9年間で総額1,270億7,510万ルーブル(約2,160億円、1ルーブル=約1.7円)の拠出を予定しており、うち実験・拠点施設などの創設には総額688億9,030万ルーブルが投じられる。
(注)ライフサイエンス研究の基礎・基盤となる動物、植物、微生物などの生物遺伝資源を体系的に収集・保存・提供する拠点のこと。
(齋藤寛)
(ロシア)
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