コロンビア人を魅了する日本産の食材
(コロンビア)
ボゴタ発
2019年04月02日
コロンビアの首都ボゴタで、15年以上もアジア料理食材の輸入販売に携わり、国内市場でその地位を確立している企業がある。フィリピン人のアントニオ・カルモナ氏と妻のソニア・ジャフェット氏が2003年に設立したベスト・チョイス(BEST CHOICE Y CIA S.A.S.)だ。30年以上、米食品大手のベスト・フーズで世界各国に駐在し、マーケティングに携わってきた経歴を持つカルモナ氏に聞いた(3月7日)。
コロンビアでは、アジア圏の文化があまり知られていないことに気付き、食を通じて両者の懸け橋になろうと考え、同社を立ち上げた。現在では、ボゴタに16店舗あるアジア料理レストラン「ウォック」や、国内で数百店舗を展開する大型スーパーマーケット「エクシト」に、すし用食材やアジア各国の調味料、加工食品を卸している。また、ボゴタ市内で直営小売店舗とラーメン店を3店ずつ運営するほか、2018年にアジア料理を提供するフードコートもオープンした。
売上高の20%超を占める日本産食品は、米国経由で輸入を行ってきた。しかし、国内における日本食人気の高まりから近年、需要が増加しており、ビジネス拡大と取扱品目の多様化のために、日本から直接輸入することを計画。2017年10月に、千葉で開催されたジェトロの食品輸出商談会で知り合った食品専門商社と地道に商談を続けた結果、2019年上半期にも1本目のコンテナを輸入することになった。商談会に参加したCFO(最高財務責任者)のカルロス・ペニャ氏は、「コロンビアの外食産業における日本食の可能性は今後も大きく広がる。特に、日本料理の背景にある歴史や伝統を重んずる精神は、コロンビア人を魅了し、日本食への理解を深めるだろう」と語る。最近の傾向として、レストランのシェフらからは、日本産マヨネーズやごま油、茶、もちアイス(アイスクリームを求肥で包んだ菓子)の要望が特に多いという。また、小売りにおいても、新しい味や製品を試してみたいというバイヤーは確実に増えてきており、輸入品や健康食品に興味のある層を中心に市場は拡大するとみている。
なお、コロンビアでは、輸入品に対し輸出国政府機関が発行する自由販売証明書の添付を義務付けている。日本では、各地方厚生局で発行されている。
(茗荷谷奏)
(コロンビア)
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