総選挙で与党第1党が大敗、政権交代へ
(フィンランド)
ロンドン発
2019年04月16日
フィンランドで4月14日、国会議員選挙(一院制、定数200、比例代表制)が行われ、与党第1党で中道右派の中央党が大敗、第4党に転落した。第1党は中道左派の社会民主党(以下、社民党)で40議席、第2党はEU懐疑派で強硬な移民政策を訴えたことで躍進してきたフィン人党(39議席)、第3党は国民連合党(38議席)で上位3党が1議席差で続いた。投票率は72%。女性議員は史上最多の92議席を占めた。緑の党(グリーン党)は若者を中心に支持が拡大し、5議席増の20議席を獲得し、当選議員の85%が女性だった。
選挙の争点は、気候変動・環境問題、高齢者介護を含む医療制度改革、移民政策、教育費だった。中央党が支持を失った背景には、公務員の3年連続の休暇手当削減による公務員の支持離れ、これまで産業団体レベルで行ってきた労使交渉を企業レベルの交渉に切り替えた結果、実質給与削減となる労働者が多かったこと、大幅な教育費削減による教育レベルの低下、懸案だった医療制度改革が進捗せず、暗礁に乗り上げたことなどが批判を招いた。
今後の組閣の見通しについては、3党以上の連立が必要で、第1党の社民党を中心に調整が行われる可能性が高い。社民党と、左派連合、緑の党では過半数に届かないため、第2党のフィン人党が連立に参加するかが関心の対象となっている。ただ、同党と社民党では移民政策が大きく異なっており、組閣は難航するとみられている。
フィン人党は2015年の前回選挙で躍進したものの、支持率はその後低下した。2017年には同党内穏健派が分裂してブルー党を結成したが、今回は1議席も獲得できなかった。個人別の得票数では、フィン人党のユッシ・ハッラ=アホ党首が3万2,527票で最多だった。2位は左派連合党のリー・アンデルソン党首の2万4,404票、3位は国民連合党を率いるアンッティ・ハカネン氏で2万231票。
フィンランド法務省によると、各党議席は表のとおり。
(前薗香織、岩井晴美)
(フィンランド)
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