憲法改正を問う国民投票は賛成多数、大統領任期は延長へ

(エジプト)

カイロ発

2019年04月25日

エジプトで4月20~22日に行われた大統領任期延長を柱とする憲法改正案に関する国民投票は、22日の現地時間午後7時に終了した。23日夜の国家選挙管理局(NEA)による公式発表では、投票数は約2,700万票(外国居住者を含む)と有権者の約44%を占め、うち賛成が約2,300万票で、有効投票約2,600万票の約89%に達した。この結果、大統領任期は現行の4年から6年に延長、代議院の議席の25%を女性に割り当てるほか、副大統領ポストの復活などの憲法改正が承認された。

NEAのスポークスマンは、投票期間終了直後のインタビューで、投票率は高かったとし、EUおよびアラブ連盟を含む22の国際機関・団体による選挙監視の結果、投票プロセスに関する苦情や問題は一切なかったと述べた。

2014年6月に大統領に就任したアブドゥルファッターハ・エルシーシ政権は、外貨不足や治安対策、諸外国や国際機関からの経済支援取り付けなど、大きな問題を解決してきた。しかし、為替レートや燃料価格の自由化などによる物価上昇で苦しむ市民は多く存在する。また、今回の国民投票では各所でキャンペーンが繰り広げられたものの、30代前後の投票率が低かったとみられており、若年層を中心に政治への関心低下も懸念される。

3月30日に行われた大統領の会見では、生活保護支給の拡大、年金支給額の増加など社会保障関係支出の拡大、公務員給与の引き上げが発表されていた。憲法改正により長期政権が見込まれるエルシーシ政権にとって、国民生活のコスト高や幅広い層の政治参加などが当面の課題となりそうだ。

(常味高志)

(エジプト)

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