ブレグジット期日延期の要望、EU内に冷ややかな声
(EU、英国)
ブリュッセル発
2019年04月08日
欧州理事会のドナルド・トゥスク常任議長は、4月10日に英国のEU離脱(ブレグジット)に関する特別欧州理事会(EU首脳会議)を招集する。欧州理事会は4月5日、英国のテレーザ・メイ首相から6月30日を新たな離脱の期日とすることを求める要望書を受け取り、欧州理事会のウェブサイトで全文を公開した。
長期のブレグジット延長容認に警戒感も
この要望書で英国側は、6月30日までの期日延期をEU側が認める場合、欧州議会選挙に参加する用意があることを表明しており、欧州主要各紙の報道によれば、欧州理事会のトゥスク常任議長は英国に対する12カ月程度の長期の離脱日の延期を、特別欧州理事会でEU首脳に提案するとみられている。
しかし、欧州議会・ブレグジット問題対策グループ座長を務めるギー・フェルホフスタット議員(ベルギー選出)は4月5日、ブレグジットをめぐる、これまでの膠着(こうちゃく)状態を「ブレグジット・サガ(終わりのない物語)」と表現し、「EU側でさらなる延期に心を動かされる方々に言いたい。どのような結末を期待しているのか、慎重に考えるべきだ」とツイート。長期のブレグジット期日延長を容認する動きに対し、警鐘を鳴らした。
欧州委員会のバルディス・ドムブロフスキス副委員長(ユーロ・社会的対話、金融安定・金融サービス・資本市場同盟担当)は4月6日、EU議長国を務めるルーマニアの首都ブカレストでの講演で、米国ワシントンで開催予定のG20財務相・中央銀行総裁会議(4月11~12日)および世界銀行グループ・IMF春季会合(4月12~14日)の議事テーマについて言及し、「ブレグジットに最も協議の時間は割かれるだろう」「しかし、われわれには貿易摩擦問題や世界経済の減速など、ほかにも留意すべき課題がある」と発言。ブレグジット問題について冷ややかな認識を示唆した。
(前田篤穂)
(EU、英国)
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