米政府、イラン産原油禁輸の適用除外措置を5月から撤廃、日本も対象に
(米国、イラン)
ニューヨーク発
2019年04月23日
米国務省は4月22日、日本を含む8カ国・地域を、イラン産原油禁輸措置の適用除外とする特例措置を、5月1日をもって撤廃すると発表した。8カ国・地域は日本、中国、インド、イタリア、ギリシャ、韓国、台湾、トルコ。5月2日以降にイランとの原油取引を行った場合、米国による制裁の対象となる。トランプ政権は、イランの核開発に関する「共同包括行動計画(JCPOA)」に基づき解除していた対イラン経済制裁を、2018年8月7日と11月5日の2段階に分けて再開していたが(注)、上述の8カ国・地域に関しては、イランからの原油輸入削減に取り組んでいるとして、一時的に原油取引の継続が認められていた。
マイク・ポンぺオ国務長官は会見で、米政府の目標はイランの原油輸出をゼロにすることだとし、原油取引を認める適用除外措置の延長は行わず、違反した国や企業に対して厳粛に対応する考えを示した。また、市場の原油価格への影響を最小限にし、十分な原油量の供給が行えるよう、アラブ首長国連邦やサウジアラビアなどの主要な原油産出国と協力していると述べた。
ホワイトハウスも同日の声明で、「米国および同盟国、中東の安全保障を脅かすイラン政府の不穏な行動を終わらせるため、トランプ政権と同盟国は最大限の経済的圧力をイランに与え続ける」と発表。さらに、今回の特例措置の撤廃と、イランの軍事組織であるイスラム革命防衛隊をテロ組織に指定した4月8日の発表とを併せて、イランのテロ組織ネットワークとイラン政権を打ち倒すための米国の取り組みだと強調した。
中国やトルコからは反対の声
特例措置撤廃の報道を受け、反対する声も聞かれる。中国外交部の耿爽報道官は同日、「米国による一方的な制裁に反対」と述べ、中国とイランの2国間協力は法にのっとった透明性のある正当なものだと主張した。また、トルコのメベリュット・チャブシュオール外相も同日のツイッターで、米国による適用除外措置終了の決定は、中東地域の平和と安定に資せず有害だとし、「トルコは(米国の)一方的な制裁措置を拒否する」と発信した。
(注)第1弾の制裁内容についてはトランプ政権、ブラックを、第2弾の制裁内容については米、原油取引含めブラック参照。
(須貝智也)
(米国、イラン)
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