極東の輸入商社、日本製品にこだわり売上高の安定化を図る

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2019年03月28日

「ダイイチ」は、ロシア極東のウラジオストクを拠点に、約500店舗の卸先を持つ大手の日本食品輸入商社だ。2000年の創業以来、販売網を広げ、現在では大手スーパーの「アズブカ・フクーサ」や「マグニト」も卸先としている。沿海地方・サハリン州担当営業部長のビタリー・アルダニコフ氏と国際事業部のマリナ・シムカニク氏に最近の動向について話を聞いた(2月15日)。

写真 マリナ・シムカニク氏(左)とビタリー・アルダニコフ氏(ジェトロ撮影)

マリナ・シムカニク氏(左)とビタリー・アルダニコフ氏(ジェトロ撮影)

(問)2018年の営業利益をどう評価しているか。

(答)ここ2~3年の売上高は安定している。欧米諸国による制裁の影響で為替レートが下落したが、2014年の景気低迷以降に商品の絞り込みや効率化を進めていたおかげで、売上高に大きな影響はなかった。また、為替レートの推移を慎重にみて取引を行っていることも、売り上げ安定の要因だ。

(問)取扱製品と卸先について。

(答)しょうゆやインスタントラーメンが変わらず人気で、2018年は取り扱うインスタントラーメンの種類を増やした。しかし、2014年の不景気を機に商品のラインアップを変えて以降(売れ行きの悪い商品の取り扱いを停止)、取扱商品はあまり変わらない。卸先はスーパーが基本だ。日本食レストランに、日本産の食品を仕入れてもらえるよう商談したことはあるが、日本食レストラン側はより安い商品を望んでいるため、日本産のものは見合わず取り扱ってもらえなかった。

(問)他国製品の取り扱い状況とその評価は。

(答)取り扱う商品はメード・イン・ジャパンが基本。賞味期限の長さで一部の菓子はメード・バイ・ジャパンの中国産を輸入しているが、あくまでメード・イン・ジャパンを優先している。以前はより安価な韓国製品も取り扱っていたが、2014年の景気低迷以降の商品見直しを機に取り扱いをやめた。現在取り扱っている韓国製品は昆布のみ。韓国製品は取り扱う輸入業者が多く競争が激しいため、自社で取り扱うメリットがない。

(問)オンライン販売の売り上げ動向や、特徴にはどのようなものが挙げられるか。

(答)オンライン販売も行っているが、売り上げは店舗と比較すると大幅に少ない。オンライン販売の購入客の多くはロシア欧州部(注1)の顧客で、(人口の少ない)極東では特に少ないのが特徴だ。オンラインだとよく売れる商品というものはなく、各商品の売れ行きは店舗での売れ行きとさほど変わらない。

(問)賞味期限・消費期限が切れた商品への対応は。

(答)卸先のスーパーから返却され、自社で処分している。廃棄削減のために、売れ行きをモニタリングして、売れ残りそうなものについては、期限の1カ月~1カ月半前からセールを行っている。現在、卸売業者からの仕入れ後、スーパーは原則、返品できない法律が検討されていると聞く(注2)。

(問)ロシア極東とロシアの他地域の違い、今後の販売が伸びる可能性について。

(答)極東はロシアの他地域と違い、アジアフードを受け入れられる独自の文化がある。特にしょうゆは既に一般家庭での肉料理などに使われており、質の違いが分かる一般消費者も多い。また近年、日本への航空便の増便によって旅行客が増加したこともあり、日本製品に興味を持つ人はさらに増えていると思う。われわれは常に新商品を探している。ロシアに売りたい商品があれば、ぜひブラック ジャック カード ゲームを提供してほしい。

(注1)一般的に、ウラル山脈から西側の地域を指す。

(注2)2018年11月28日付で連邦法第446-FZ号「連邦法『農業の発展について』第5条と連邦法『ロシア連邦における商業活動の国家規制の基礎』の修正について」が署名され、小売業者が保存期限30日未満の食品を供給側(製造者、卸売業者)に返品すること、および売れ残った食品の処分に係る費用の支払いを供給側に求めること、またそれらを供給側との取引条件に課すことを原則、禁止した。同年12月9日から施行されている。

(加峯あゆみ)

(ロシア)

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