4月1日から付加価値税のオンライン納付義務化

(英国)

ロンドン発

2019年03月28日

英国歳入関税庁(HMRC)は4月1日から、付加価値税(VAT)の納付と還付について、一部の例外を除き、オンライン申請を義務化する。2017年財政法第2号に基づくもので、HMRCが2015年から進めてきた税務デジタル化(Making Tax Digital)の本格的な導入開始と位置付けられている。対象となるのは、VAT登録が義務付けられている年間売上高が8万5,000ポンド(約1,232万5,000円、1ポンド=約145円)を超える企業・団体。4月1日以降、専用ソフトウエアを用いてHMRCに申請することが義務付けられる。申請後は取引や会計に関する記録をソフトウエア上にデジタル形式で6年間保管することが求められる。

ソフトウエアはさまざまなIT企業から提供されており、政府ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます上に3月25日時点で開発企業83社のリンクが掲載されている。大がかりな会計システムとして構築されているソフトウエアからVAT申請だけに特化した低価格のものまである。

適用除外として、信託基金や非営利団体、公共団体、地方自治体、カジノ 無料に拠点を置くトレーダー、年間会計スキームのユーザーなどに対しては、VATの計算が複雑などの理由から、半年間の猶予が認められた。10月1日からは例外なしに完全にデジタル申請に移行する。

HMRCは、「税務デジタル化」についてのロードマップを2015年12月に公表し、VATだけでなく、法人税や所得税などその他の税のデジタル化も目指している。しかし、専用ソフトウエアの購入などで中小企業への負担が大きいとの指摘が相次ぎ、当面は導入に向けた中小企業の支援に力を入れ、2020年4月以前にVAT以外の税のデジタル化導入はないとしている。VATデジタル化に関する詳細は、政府通達(700/22)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

(岩井晴美)

(英国)

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