バスク州、ブラック クイーン ブラック ジャック
(スペイン)
マドリード発
2019年03月27日
スペインは、地場の主要完成車メーカーを持たないが、欧州2位の自動車生産国で多くの部品企業が集積している。中でも、自動車産業にとって重要なのがバスク州で、スタートアップと大手企業との連携も進む。300社が加盟する欧州最大の自動車部品産業クラスター「バスク自動車産業クラスター(ACICAE)」のラケル・ピニャン国際部長に聞いた(3月12日)
同クラスターは、地場自動車産業の競争力強化を目指し、オープンイノベーションを推進。2009年に「オートモーティブ・インテリジェンス・センター(AIC)」をビルバオ郊外に創設した。日系を含む8カ国30社、部品メーカーやコンサルティング企業などがAICに入居しており、自動車産業、地元の研究機関や自治体と連携し、開発に取り組んでいる。入居企業間の連携も活発で、スピンオフしたスタートアップも生まれている。「どの部品メーカーも、技術革新や、人材開発など共通の課題を抱えており、連携が知識や資源の共有・最適化につながっている」と、ピニャン国際部長は語る。
AICは、日本の大手完成車メーカーからの実証実験の請負や、電気電子分野の日本企業の入居、人材交流などで日本企業とも関係が深いが、今後は部品メーカーとのパートナー関係も深めていきたいとしている。
地場製造業の生産性向上に資するスタートアップ支援に特化したプログラムも、注目に値する。世界中からスタートアップを公募し、州内大企業とのマッチングでオープンイノベーションを推進するアクセラレータープログラム「バインド4.0(BIND 4.0)」が実施されている。協業プロジェクト自体への補助金の支給はなく、スタートアップへの対価は大企業が支払う。これは、大企業が求めるものは即活用できる技術で、大企業が本当に欲しいものでなくては意味がないとの考え方に基づく。
もちろん、スタートアップ側には、世界的大企業を通じた成長加速の機会を提供されるメリットがある。2015年にプログラムに選ばれたビッグデータ解析・機械学習(マシンラーニング)のビグダ・ソリューションズは、本プログラムでメルセデスのビトリア工場(アラバ県)と協業。その実績から、フォルクスワーゲン(VW)とのプロジェクトにも発展している。2019年1月に選定された直近のプログラムでは、欧州や米州、アジアなど64カ国524社が応募し、32社が選抜された。これらのスタートアップは、2019年前半の24週間にわたり、パートナーとなる大企業と協業する。
(伊藤裕規子)
(スペイン)
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