国家警備隊の創設にかかる憲法改正審議が終了

(メキシコ)

メキシコ発

2019年03月15日

アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール(AMLO)大統領が就任時の演説で発表した100の公約の1つである、国家警備隊の創設にかかる国会での憲法改正審議が3月1日に終了した。2月21日に全会一致で上院を通過し、3月1日の下院の審議でも賛成463票、反対1票で可決され、連邦議会での審議を終えた。憲法改正には、憲法第135条に基づき全ての州議会の過半数の賛成も必要で、3月13日にユカタン州議会で可決されたのを最後に全ての州議会で承認された。

国家警備隊創設にかかる治安対策スキームは、以下のとおり(「エル・エコノミスタ」紙3月1日より抜粋)。

  1. 国家警備隊は設立当初に限り連邦警察、陸軍および海軍の構成員で構成されるが、5年間のうちに文民による運営に移行する。
  2. 国家警備隊に参加した連邦警察、軍の構成員であっても、所属元の職務範囲、機能を維持する。
  3. 国家警備隊は各州、市町村によって組織される。
  4. 国家警備隊は公共治安省に属する組織となり、人権および男女平等も監視する。
  5. 国会警備隊の代表者は大統領が指名する。
  6. 国会警備隊創設にかかる憲法改正が発効してから180日以内に、各州は国家警備隊が正しく機能していたかどうかの報告書を提出する義務がある。また、連邦警察の機能強化についても提案を行うこと。

AMLO大統領は、就任100日(3月10日)を記念する演説(2019年3月13日記事参照)において、「国民は部分的にではあるが、治安の問題に直面している。犯罪の件数は減少しているが、われわれが望んでいたような劇的な改善はみられない」とし、引き続き治安の課題が残っていることを示した。

ただし、国家警備隊の創設が、治安の改善に結び付くかは不透明だ。野党・制度的革命党(PRI)の上院議員、レネ・フアレス氏は「国家警備隊だけでは、治安の改善には不十分だが、重要な前進ではある。治安が改善するかどうかは、現政権が責任をとるべきであり、過去の政権に責任をなすりつけないことを願う」と指摘した(「エル・フィナンシエロ」紙3月1日)。

(岩田理)

(メキシコ)

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