2年連続で販売減、電動車市場は伸びる
(英国)
ロンドン発
2019年02月12日
英国自動車製造販売者協会(SMMT)は1月31日、2018年の国内乗用車生産台数を発表した(表1参照)。
2018年の乗用車の生産台数は151万9,440台で、前年比9.1%減となった。約8割が輸出向けで、輸出先の主な内訳はEU52.6%、米国17.9%、中国6.1%、日本3.3%だった。主要メーカーの生産台数は、ミニを除いて、前年比減となっている(表2参照)。日産、トヨタ、ホンダの日系3社の合計生産台数は全体の約半分を占めている。
2018年の新車(乗用車)登録台数は前年比6.8%減の236万7,147台で、2年連続で前年割れとなった(表3参照)。燃料種別ごとにみると、ディーゼル車が29.6%減と大きく減少した。その一方で、代替燃料車は20.9%増と大きく増えた。
新車登録をモデル別にみると、フォードのフィエスタが1位で、フォルクスワーゲン(VW)のゴルフ、国内メーカーであるボクソールのコルサが続いた(表4参照)。日系メーカーでは、日産のキャシュカイが4位となった。
電動車は合計で前年比20.9%増の14万1,234台となり、乗用車全体に占める割合は5.8%となった(表5参照)。ハイブリッド車(HEV)に加え、バッテリー電気自動車(BEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)が軒並み前年比増となっている。
政府は、2040年までにガソリン車・ディーゼル車の新車販売を停止する目標を達成するため、2018年7月にロードマップ「ロード・トゥー・ゼロ」を発表した。その中で、中間目標として2030年までに乗用車の50~70%を超低排出車(注)とすることも掲げられている。目標達成の主軸となる電気自動車の普及促進のため、政府は購入や充電設備への補助金制度のほか、2018年7月には「自動運転・電気自動車法(AEVA)」を成立させた。AEVAには、高速道路やガソリンスタンドへの充電設備拡充対策に加え、充電設備の規格や安全基準の統一、自動運転技術に対応した保険ルールの見直しといった、将来型モビリティー技術の普及の基礎となる内容が盛り込まれている。
SMMTのマイク・ホーズ会長は、需要を弱める政治・経済的な不確実性がある中で、企業はこれまでにない厳しい環境目標に直面している、とコメントした。
(注)炭素低排出技術を使用し、1キロ走行当たりの二酸化炭素排出量75グラム未満、10マイル(約16キロ)以上を炭素排出ゼロで走行可能な自動車。
(木下裕之)
(英国)
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