国営鉄道車両メーカーINKA、スイスのシュタドラーと提携
(インドネシア)
ジャカルタ発
2019年02月13日
国営鉄道車両メーカーのインダストリー・クレタ・アピ(INKA)は、スイスの鉄道車両メーカーのシュタドラーと提携し、東ジャワ州バニュワンギ県に車両工場を新設する。工業省とINKAの発表によると、投資額は30兆ルピア(約2,400億円、1ルピア=約0.008円)で、INKAは84ヘクタールの土地と建屋を、シュタドラーは技術や製造設備を提供する。新工場の生産能力は年間1,000両を目指し、2020年に操業予定だ。
両社はこの提携により輸出向けの車両を製造し、INKAはバングラデシュ、スリランカ、インド、フィリピンといったミドルレンジ市場を、シュタドラーはシンガポール、台湾、オーストラリアといったハイエンド市場を狙うという。インドネシア国内の鉄道車両市場も活況で、INKAはインドネシア国鉄(KAI)向けにLRT(Light Rail Transit)を含め438両を受注(2016年実績)、製造している。
INKAは近年、ブラック ジャック コツ市場の開拓に注力しており、2017年にバングラデシュ鉄道(国鉄)による250両の調達案件を落札(契約金額1億89万米ドル)し、1月20日にスラバヤのタンジュン・ペラク港から第1陣として15両を輸出した。この車両製造の現地調達率は65%に達しているという。INKAは東ジャワ州マディウン市に製造拠点を有しているが、内陸部に位置するため、輸出の際の輸送コストが課題だった。バニュワンギ工場は海岸に近く、より効率的に輸出できる。
一方のシュタドラーは近年急成長を遂げ、現在、世界7位の鉄道車両メーカーだが、市場は欧米中心だった。INKAとの提携により、インドネシアを拠点としてアジア大洋州に販路を広げる考えだ。
バニュワンギ県はジャワ島の東端に位置し、対岸にバリ島を望む。人口は169万人(2017年)だ。最低賃金は213万2,779.35ルピア(東ジャワ州知事決定188/665/KPTS/013/2018)で、ジャカルタ特別州の約半分にとどまる。ジャカルタから直行便も運航され、アクセスは良好だ。ITを活用した行政効率化の取り組みも評価されている。
(吉田雄)
(インドネシア)
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