米国最大の農業者団体AFBFがTPP11への再参加を支持

(米国)

シカゴ発

2019年02月12日

米国最大の農業者団体であるアメリカン・ファーム・ビューロー連合(AFBF)の第100回年次総会で、通商政策に関しては、関税賦課や協定からの撤退よりも、貿易紛争を解決するための交渉を支持するとともに、「環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)」への再参加支持を決議した。同総会は、ルイジアナ州ニューオリンズで2019年1月11~16日に開催された。

同総会では、AFBFの2019年政策方針外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが示された。また、AFBF議会関係担当部長のベロニカ・ナイ氏が、中国との貿易紛争による影響について、農業者の不安を代弁した。同氏は、多くの国が大豆やトウモロコシを栽培しており、現在これらの商品は中国市場で余裕のある状態だとし、「関税が最終的になくなっても米国は中国市場を失う可能性があり、失った市場を回復するには時間がかかる」と懸念を述べている。また、ジッピー・ドゥバルAFBF会長も、中国に対するトランプ政権の通商政策は支持するものの、どれだけ耐えられるかは農家の財政状況次第だとしている。

CPTPPについては、2018年12月14日に米農務省(USDA)が、アジアで中国に次ぐ2位の輸出先である日本市場では、CPTPPにより牛肉や豚肉、乳製品などの関税が下がることで、競合国であるオーストラリアなどが価格優位性を持ち、米国の対日輸出競争力が下がることを示唆していた(2018年12月26日記事参照)。

1月14日には、政府機関の一部閉鎖が続いていた中、前年に引き続き、トランプ大統領が来場して講演した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。同大統領は、メキシコ国境への壁建設の重要性を長時間にわたって訴えたほか、中国による農業用種子や遺伝子技術の盗用などを含む、不公平な貿易慣行に立ち向かっていることを述べた。また、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA、新NAFTA)により、モンタナ州産小麦、ウィスコンシン州産乳製品、ジョージア州産鶏肉などの輸出が増加するだろうとし、通商政策での取り組み実績を強調した。さらに、2017年1月の大統領就任後、ブラジルやアルゼンチン、トルコなどの農畜産物市場を開放したと成果をアピールし、日本については、アイダホ産ジャガイモと羊肉(lamb)の日本への輸出再開を挙げた。

(仁平宏樹)

(米国)

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